マンション高いですね。3LDKファミリータイプで駅近に住むなんて夢のまた夢。と最初から諦める前に、駅近マンションの置かれた状況を把握してみましょう。
この記事の目次
マンション高騰時代でも駅近を選ぶためには
「マンション買うのであれば駅近」なんて、このマンション高騰時代すでに死語のように思えます。首都圏におけるマンション価格はこの10年で1,000万円以上値上がりしました。
更に駅近物件に限れば、資産性やリセールバリューが特徴として言及されているのをよく見かけます。都心部では、駅から近い立地に良質なまとまった土地が限られている現状もあります。
正直、「都内の新築マンションで駅徒歩5分」を手に入れることは、庶民にとって非常に難しいと思えます。それでも、利便性、資産性などの側面から駅近のマンションに住みたいと根強く思っている人はいるでしょう。
予め断っておきますが、今回の記事の目的は、4つの視点から都内の駅近マンションを洗い出すことのみです。駅近マンションを選ぶにあたっては、資産性、利便性、住環境とう様々な問題提起があり、それはまた別の機会を設けたいと思います。
4つの視点とは
1つ目、
築10年以内の中古マンションを選ぶ
2つ目、
思い切って一回り狭い住戸を選ぶ
3つ目、
エリアを見直す
4つ目
月々の支払い負担額を引き上げる
という視点です。
そもそも駅近関係なく価格が高騰しきっている新築マンションは捨てます。築10年以内であれば綺麗なマンションはたくさんありますし、ここでは触れませんがコストカット著しい現代マンションと比べて、中古ならではの良さが際立つ物件もあります。
次に広さですが、一般的にはファミリータイプのマンションを選ぶ際、3LDKの70㎡マンションを選ぶ人が多いと思います。そこで、家族、2人、3人の場合は、2LDKという選択肢も視野に3DKという固定観念をいったん捨て、一回り狭い住戸も見ることにします(参考記事:良い2LDKの間取りのマンションを選ぶために注意すべきポイント )。将来家族が増えることを願っていても、駅近のマンションであれば売りやすく住み替えも容易です。住まいは一生モノの時代ではありません。
次にどうしても駅近が良ければ、エリア全体を俯瞰して見てみましょう。全てのエリア相場が把握できれば、選択肢が広がるかもしれません。
同じく、60㎡住戸、70㎡住戸それぞれを選んだ時の月々の支払額がどれくらいの負担になるかを把握してみます。その上でどうしても手が届かず諦めきれない場合は、月々の支払金額を引き上げる事で購入予算を思い切って見直してみてみましょう。今の時代、ある程度リスクを取らないとマンションは購入できません。
他にも、マンションブランドを選ばない、周辺の住環境を犠牲にするといった柔軟な姿勢をもって選ぶことが、私たち庶民が駅近のマンションを選ぶ近道になると言えます。
ただし、本当に「駅近に住むことが優先的な住まいへの価値観」なのでしょうか。住み始めてから、駅が近いから騒がしいとか暗い環境だとか、部屋が狭いとか後悔することは避けなければなりません。逆に駅から遠いマンションでは何故ダメなのでしょうか(参考記事:駅から遠いマンションを購入検討する際の注意点 )。本当に駅近マンションの選択肢が良い理由を再度考え直してみましょう。
以上を念頭に都内沿線の中古マンションを調べてみました。
都内駅近(徒歩5分以内)の中古マンション相場
調査した条件、前提は以下です。
・suumo調べ
・東京都内、全売出し中物件
・駅徒歩5分
・築10年以内
・50㎡~90㎡の2LDK~3LDK
・所有権
(2019年1月10日現在)
東京都内、全27,052物件中、上記条件に該当する物件は1,252件でした。約5%。中には、豊洲、月島、勝どき、神楽坂など、条件を満たしている売出し物件が集中して多いエリアもありますが、全体的には希少ということが言えるでしょう。
相場価格についてですが、不動産素人である「すまいよみ筆者」は、物件の「成約価格」を見るすべがありません。ですので、相場や過去取引事例から決められている売出し価格を参考にあくまで目安としています。ただし、売出しから実際の成約における実態を踏まえ、全物件売出し価格から3%を差し引きました。また、売出し事例が偏っている物件によっては(駅徒歩1分のタワマン最上階住戸しか売出し事例が無い場合など)、売出し価格から10%を差し引いた金額を算出しました。
※記事を書き終えた後、標本数を増やすため、徒歩5分以内で該当物件が無かった駅に限り徒歩6分でも調べてみました。評価方法としては、売出し価格から3%を差し引かず、逆に3%分を加算しました。6分の該当物件は駅名の後に※印をつけてあります。
駅近マンション 相場表の見方
各鉄道沿線ごとに全ての駅を洗い出し、まとめてみました。
空欄は、調査当時、条件を満たす売出し物件がなかったことを意味します。それだけ希少ということでしょう。また、駅が歯抜けになっている箇所は、都内を条件としていることから東京都に挟まれている神奈川県川崎市など都外の駅を省いているためです。
・駅名
路線の都内全駅を記載(一部除く)。
・戸数
売出されていたマンションの数
・60㎡価格
・70㎡価格
実際に売出し中のお部屋を、2LDK、3LDKとして標準的な60㎡と70㎡当たりに換算した価格
・坪単価
1坪=3.3025㎡
・月々60㎡
・月々70㎡
それぞれの金額に対し、実際に住宅ローンを組んだ際の月々の支払額(※頭金なし、ボーナス払いなし、元利均等、0.5%変動金利で35年間借り入れた場合。購入各種手数料、ランニングコスト、税金とう含まず)。
(単位:万円)
戸数が多いエリアについては、選択肢が広がり選びやすく、相場の実態がより近いと判断できるでしょう。2LDK、3LDKの広さそれぞれ月々の支払額も見て、エリアや相場と自分の支払い能力などの関係を俯瞰できるようにすることで、人それぞれの住まいに関する気づきがあればと思います。
以上、価格はあくまでも目安なので、条件に近しいと思われる駅があれば、更に新築、中古なら築年数、駅徒歩分数など条件を緩和して詳しく相場を調べてみることをお勧めします。
都内 各沿線の駅近マンション 相場価格
JR各駅
・山手線
・京浜東北線
・常磐線
・埼京線
・高崎線
・総武快速・横須賀線
・総武線各駅
・中央線快速
・青梅線他
・南武線
・横浜線
・京葉線
地下鉄メトロ各線
・銀座線
・丸ノ内線
・日比谷線
・東西線
・千代田線
・有楽町線
・半蔵門線
・南北線
・副都心線
都営地下鉄各線
・都営浅草線
・都営三田線
・都営新宿線
・都営大江戸線
私鉄各線
・東急東横線
・東急田園都市線
・東急池上線
・東急目黒線
・東急多摩川線
・東急大井町線
・東急世田谷線
・西武新宿線
・西武池袋線
・西武拝島線・他
・東武東上線
・東武スカイツリーライン
・東武亀戸線
・京王井の頭線
・京王線・京王高尾線
・京王相模原線・他
・京成押上線
・京成本線・他
・京急本線
・小田急線
その他の路線
・日暮里・舎人ライナー
・多摩モノレール
・りんかい線
・東京モノレール
・新交通ゆりかもめ
・つくばエクスプレス
駅近マンション 相場を調査して気が付いたこと
調べていて、気が付いたことを少し。
・中古の条件でも非常に高価です。新築であれば、更に10%~エリアによっては20%くらい新築プレミアム価格が乗せられることになります。
・中古にして、60㎡換算しても一般サラリーマンに購入できる都内駅近マンションは限られることがよくわかりました。
・庶民にとっては月々の支払い負担が相当厳しいと思いますが、これでも最大限負担額を抑えた条件(変動金利0.5%、35年借り入れ、頭金なし)のため、人によっても異なりますが、実際の月々負担額は上がる可能性があり注意が必要です。
・駅から近く築年数が浅いマンション、特に物件0や1の駅での売出しは希少です。気に入って経済的に許されるのであれば買いだと思います。
・立川など郊外でも駅前にタワーマンションがある駅は、総じて相場を引き上げています。タワーマンションと一般のマンションの相場についてはよく比較したほうが良いでしょう。
最後に
狙い目の駅はありましたでしょうか。マンション、どこもかしこも高いですね。これであれば、「マンションな選ぶなら駅近」ならぬ、逆に駅近とまでいかなくても10分くらいで戸建の選択肢だってあるかもしれません。
今回は鉄道沿線を東京都で区切ってしまいましたので、また別の機会に、首都圏近郊の相場も調べてみたいと思います。