この記事の目次
規模によるマンションの特徴
規模の違いによる特徴と前提を以下4つの視点に整理しました。
・戸数
およその前置きですが、大規模を200戸以上、小規模を50戸以下としました。私が住んでいるマンションは130戸なので、中規模でしょうか。
・居住人数
ファミリータイプとしているので、1世帯平均3人としても、300戸で900人、50戸で150人。当然大規模は住人が多くなります。色々な人が入り混じります。子供も増えます。
・敷地面積
大規模は戸数が多いので、当然マンションの敷地面積は広く、タワマンのように空に長くてもそれなりの広さになるので、工場跡地などまとまった土地に建つことになります。一方で、小規模の敷地面積は当然狭く、街角の一画、駐車場の跡地などに建ったりします。
・デベロッパーの特徴
大規模は旧財閥系最大手の4社中心に大手が多いです。一方、小規模マンションはバイイングパワーで大手に劣る準大手や中小のデベロッパーが多いです。大手が建てることもあります。
以上を踏まえた上で、日々、暮らしやすいのは大規模、小規模どちらなのでしょうか。
イシュー「日々快適に暮らすために」
ここでは、「住まいとして快適に暮らすため」を問題点として2つの答えを出しました。それは、戸建てにはない生活利便性を重視するなら大規模マンション、戸建てライクな一歩上の豊かな居住空間を追求したいなら小規模マンションということです。
「生活利便性なら大規模」、「居住空間なら小規模」はそれぞれ必要条件です。なぜなら、大規模は太郎飴のような同じ部屋を並べて収益を追求したマンション事業として確立しているため、加えて、主に大手デベロッパーが手掛ける大規模レジデンスに充実した共用施設を付随し派手な広告を打つことで話題性と安心ブランドに顧客は食いつくので、居住者1人1人のために居住空間まで負担をかける必要がないからです。
一方の小規模物件は、人気で劣る準大手や中小デベロッパーに多く、ブランドや大規模特有の共用施設などで訴求することが難しいことから、数少ない一戸一戸の居住空間の良さを販売のフックにする必要性が増すからであり、加えて、限られた土地活用においては、大規模のように金太郎飴のような住戸を並べる効率的な配置の必要性に薄れ、角部屋や柔軟な間取り空間を作りやすいからです。
ただし必要条件ではあるのですが、小規模でも普通の間取り、大規模でも充実した共用施設がないマンションもありますので、好みに応じてよく物色する必要があります。
生活利便性を取るなら大規模
戸建てでは味わうことができない、充実した共用施設、サービスをもとにした生活利便性が大規模マンションの醍醐味です。
キッズルームに、Wi-Fi完備のワーキングスペース、カフェラウンジ、宿泊を伴うゲストルーム、カーシェアリング、レンタサイクル、ネットスーパーの受け渡し、24時間の有人管理やコンシュルジュサービスなど、近年の大規模マンションでは、更に多彩な共用施設、サービスを売りにしている物件も目立ってきています。
大規模ならでは、1住戸当たり月々少額な管理費負担で賄える共用施設は魅力です。子供が小さくても、雨の日でも、マンション内で快適に便利に生活できてしまう、そんな魅力が大規模マンションにはあります(参考記事)。
一方で、個々の住戸の居住空間はというと一部のプレミアム住戸や角住戸を除いて一緒くたに同じ間取りの部屋が並び、どの部屋も最低限の生活スペースに留まります。
そしてその間取りはといえば、ほぼ以下のような形状の間取りからしか選べません。
すなわち、最低限の住み心地と事業主都合の収益構造として両立できる6メートルスパン(住戸幅)の住戸。2つのタイプの間取りです。両脇を壁に囲まれ開放感に乏しく窓は少なく小さめ、部屋の明るさや使い勝手はバルコニー側のリビングに偏り、共用廊下側の居室は採光が悪く暗い部屋になりがち、住戸自体、また各居室も細長くなることで使い勝手も制限されます(関連記事)。
豊かな居住空間を取るなら小規模
戸建て感覚に近い一歩上の快適な居住性をマンションに求めたいのであれば小規模マンションから物色するしかありません。狭い敷地に数戸しか配置できない小規模マンションは、角住戸の割合も必然的に高くなり、プライバシー性や私邸感が高い内廊下など柔軟で工夫された住戸配置設計もしやすくなります。以下一例です。
(画像出典:クレヴィア住吉扇橋折り込み広告)
居住性を高めた小規模マンションをいくつか紹介してきました(関連記事)。
小規模マンションに求めたいのは何といっても間取り。
例えば、上記間取りのようなワイドスパンの採用により3つの居室をバルコニー側に配置。全居室を採光や風通し豊かな部屋に設計しています。戸建てのように、窓がたくさんあって風が抜けて明るく過ごしたいという人には、小規模マンションからのほうが選びやすくなります。ちなみに、「間取りは小規模が必要条件」であることの例外として、積水ハウスのマンションがあります。大規模物件においても、ハウスメーカーならではの考え抜かれた居住空間の設計が各住戸になされています(関連記事)。
一方、生活に便利な共用施設はほとんど皆無です。少ない住戸の管理費負担では、日々の清掃、エレベータメンテナンス、セキュリティ、管理人さんの人件費くらいが精いっぱいだからです。
以上、戸建てのような住み心地や明るい居住空間を取るのであれば小規模マンションを物色しましょう。戸建てでは味わえない生活に便利な共用施設やサービスをとるのであれば大規模マンションを探すというように、好みがわかれるところだと思います。
他、規模によるメリット・デメリット
他に、大規模、小規模それぞれのメリット、デメリットを整理してみました。
大規模のメリ・デメリ
・広大なスケールによるランドスケープデザインの採用、最大手の信頼から地域の中心的な存在となり資産性が高くなる傾向
・多くの住戸で管理費を分担するため、月々のランニングコストが割安になる
・幼稚園や小学校のママ友などコミュニティを作りやすいので子育て世代に向いている
・住居者が多いため、個人のプロフィールは埋もれがちで、プライバシー性が保たれる(どこに誰が住んでいるかまで把握できない)
・住人が多い分、ゴミ置き場など共用施設でマナーが悪い人が増える懸念
・少しでも早く多くの住戸を捌くため、基本はモデルルームでの青田買いになるので、実際の部屋、住環境が入居までわからない事が多い。
小規模のメリ・デメリ
・構造、希少な間取りによってヴィンテージマンションになる可能性もあるが、よほど企画力がないと話題性が少ない集合住宅になってしまう
・少ない住戸で管理を分担するためランニングコストが高くなりがち
・共用部分で住人と会うことが少なく気を遣わずに済む
・一方で、どの住戸に誰が住んでいるか何となく把握できてしまい、プライバシー性に欠ける
・子供の絶対的人数が少ないことで静かに過ごしたい人向けかも
・完成(に近い)物件を販売することが多いので、実際の部屋、建物、居住環境を事前に確認できる場合が多い。
他にも、規模による特徴の違いがあるかと思います。人によっては違う観点から、大規模や小規模でどちらが住みやすいか判断したいですね。
最後に
僕は最初に住んだ25戸の小規模なマンションで、角住戸の面白い間取りを選び、毎日の生活が快適で楽しかった思い出が強く残っています。やっぱり家は明るさや楽しさ!角部屋や楽しい間取りを選びやすい小規模マンションは魅力があります。一方で今は、充実した共用施設の中で楽しく便利に生活して資産性も維持していけるような大規模マンションにも魅力を感じています。
とっつきやすくブランドだから大規模、もしくは価格が安めだから中小の小規模マンションという視点だけでなく、大規模、小規模、どちらが自分の生活観に合っているのかよく見極めながらマンション選びをしたいですね。