何を差し置いても『通勤のストレスだけは絶対に避けたい!』という人のために、マンション(住まい)を購入する際に考えるべき立地選びの要点をまとめてみました。
この記事の目次
通勤ストレスを避けるためのマンション選び
通勤ストレスといえば、朝夕の通勤時間帯における、満員電車による長時間の移動、駅やホームの混雑、人波の中での面倒な乗り換えなどでしょう。個人的にも通勤のストレスだけは本当に勘弁です。
現在、私は、運よく様々な視点から通勤ラッシュのストレスには無縁な生活を送っています。自身の経験も踏まえ、通勤ストレスを少なくする住まいの立地選びについて、以下6つの要点を挙げてみました。
1、混雑度が激しい路線エリアを避ける
2、人口増加率が高い路線エリアを避ける
3、都心に近く住宅相場が低いエリアを選ぶ
4、電車の始発駅周辺エリアを選ぶ
5、複数路線利用可能なエリアを選ぶ
6、職場変更にも柔軟対応できる路線を選ぶ
住まい選びは、通勤ストレスだけで選ぶわけではありませんし、上記すべてを満たすことは無理だと思います。ただ、とにかく通勤ストレスに重きを置いて住居選びをしたい人にとっては、事前に注意を払って下調べしておきたいことです。
混雑度が激しい路線エリアを避ける
通勤ラッシュが激しい沿線を選ぶ際は慎重になりたいです。首都圏で言えば、朝、東京都心に向かう電車はほとんどの沿線で激しいラッシュに見舞われているようにも思えます。
一方で、路線や区間をよく吟味すれば、ある程度の混雑は仕方ないにしても、「地獄のような」通勤ラッシュに合わない路線、区間もあるでしょう。
国土交通省が「主要区間の混雑率」というデータを公表しています。
東京圏では、混雑率(輸送人員 / 輸送力)=180%以下に緩和させることを一つの目標に置いています。私は上記の中で、東海道線と京浜東北線以外、180%以上の区間で通勤ラッシュの経験がありますが、絶対に乗りたくない相当なストレスレベルです。特に東西線、総武線、田園都市線などは、朝の1番混む時間帯は並んでも電車に乗れないことがありました。大阪圏など他の地域データも公表していますが、180どころか150越えるなんて東京圏だけなんですね。
混雑率トップ10に2つの区間が入っている「錦糸町」。朝8時台はホームから車内まで人が溢れ、まさに地獄絵図になっていることもしばしば
これらの数値を見た上で例に挙げると、東京や大手町に向かう沿線に住むとしたら、私は絶対、「東西線」沿線には住まないと決めています。一方で埼玉県から、同じく大手町に入ってくる「半蔵門線」の朝の上り通勤電車は、さほど通勤にストレスがないレベルだと肌感覚でも実感しており、このデータにも表れています。ですから、大手町へ仕事、通勤の目安として居住地を決めるなら、東西線の「東陽町」より半蔵門線の「錦糸町」やその沿線です。大手町までの混雑度が全然違います。
もちろん大手町や東京だけが仕事をするビジネス街ではありませんし、私的な事情も人それぞれで違うでしょう。できるだけ通勤ストレスから解放されるために、混雑率が低そうな路線や区間を見ながら居住エリアを検討することは、およそですが目安になるとは思います(以下は混雑率150~169の路線データ)。
人口増加率が高い路線エリアを避ける
再開発からタワーマンションが立ち並び人気の街へ豹変。人がたくさん集まったのはよいけれど、交通インフラが追い付かず駅の改札、ホームに入るのが億劫。都心、郊外でも近年見受けられるケースです。人口が減る中、街も人もマンションも一極集中する傾向にあります。
以下、JRの一日平均乗降客数上位100の駅のうち、前年より3.0%以上伸びた駅です。
5つしかありませんが、全てが駅周辺の再開発で、数百戸もの大規模タワーマンションが立ち並ぶ、もしくは今後何棟も建つであろうエリアです。さいたま新都心には、現在1400戸規模のタワマンが建設中です。
朝の通勤ラッシュ時、人の波で改札までも中々入れないと社会現象になっている「武蔵小杉」
他にも、大規模再開発が進められているエリアがあります。先日の日経新聞の記事では、大宮、浦和エリアを、第二の武蔵小杉になる懸念として警鐘を鳴らしていました。人気の街に人気のタワーマンションを購入して喜んでばかりもいられません。人気エリアにマンションを購入した後、華やかな生活の裏で、中々駅の改札に入れない、電車に乗り込めないといった過度な通勤ストレスを抱えてしまう状況も考えられます。地下鉄、私鉄各社沿線でも乗降客数は公表されています。本当に『そのエリア』で良いのか、事前によく吟味したいですね。
都心に近く住宅相場が低いエリアを選ぶ
通勤ストレスを最小に抑える、そんな都心で勤務地に近いエリアの住まいを、日々通勤ラッシュに悩む我々サラリーマンが購入するのは難しいでしょう。しかしながら、通勤ストレス解決に偏った価値観で物色すれば、穴場のエリアや立地が見つけられるかもしれません。開発が進んでおらず不人気のアドレスやエリアなどはまだまだ多いです。
例えば、横須賀線の「武蔵小杉」で駅改札に入れないストレスを抱えるなら、1駅3分隣の「新川崎」が良いでしょう。つくばエクスプレスは、新しく開発された「柏の葉キャンパス」や「流山おおたかの森」より、都心に近い「八潮」のほうが、昔の街のイメージが先行して住宅相場は割安です。
「江東区枝川」。豊洲から5分ほど入って枝川アドレスになったとたん相場が安いエリア。少し歩くが、朝の通勤電車は地獄ではない豊洲、越中島の駅を利用し都心まで近くて便利
また、駅チカにこだわりがなく、通勤ストレス軽減を優先させるのであれば、「都心から近くて駅遠」のエリアを選びましょう。「駅徒歩5分電車で30分」より「駅徒歩20分電車で15分」です。タクシーを利用する際も後者の方が圧倒的に安いので、いざという時はかなり便利ですし、駅までたくさん歩いて健康的で一石二鳥だ!と強がっておけば良いこと尽くしです(笑)。
電車の始発駅周辺エリアを選ぶ
電車1本、5分待てば次の始発電車でゆっくり座って通勤。車内長時間で本を読むも寝るもよし。時間を有意義に使えます。
丸ノ内線「方南町」、千代田線「北綾瀬」は、都心から直通電車が通る予定で新たな始発駅に
見過ごしがちなのですが、検討するエリアの沿線上で調べればすぐわかることです。急行停車駅より始発が出る各駅停車駅の方が快適かもしれません。今後始発駅になることが予想される、駅の再開発やダイヤ改正などの情報にも目を向けておきたいですね。また細かいことですが、近年、グリーン車や特急列車に加え、座席指定の通勤電車なども鉄道各社で増えてきていますので注目してみましょう。
複数路線利用可能なエリアを選ぶ
通勤時、複数路線を利用できれば、朝、商談があるのに電車が止まってどうしようと悩む間もなく敏速に対応できますし、帰宅時人身事故など不測の事態の際でも電車が止まってしまい帰れないということも皆無です。もちろん、通勤に限らず移動手段として非常に便利です。
「品川」のような、1駅でいくつもの路線以上利用できる駅周辺という恵まれた環境はなかなか難しいかもしれませんが、徒歩20分以内で(ギリギリ徒歩圏内でしょうか?)2駅、2路線以上を利用できるようなエリアの物件を選ぶことは難しくないはずです。
つくばエクスプレス、常磐線、日比谷線、東武伊勢崎線と複数の路線が入るビッグターミナル「北千住」
例えば、僕が以前住んでいた場所は、徒歩12~13分ほどで東急田園都市線の「用賀」と東急大井町線の「上野毛」を利用できました。メインは田園都市線を利用していましたが、たとえ田園都市線で人身事故があっても、大井町線を利用し「自由ケ丘」経由で渋谷方面へ、「大井町」経由で東京方面へ柔軟に動けたので、困った時の大井町線はとても重宝しました。
マンションの物件概要には、前提として主たる最寄り駅の記載はあります。ただし2駅目からは「駅徒歩25分」まで親切に表記されている物件もあれば、「駅徒歩17分」でも謙虚に明記されていない物件もあります。エリアが500メートル違うだけでも複数路線を利用できる範囲か否か変わってきますので、同エリアで数物件迷っていたら、周辺地図をよく読みこみながら物件選びをしましょう。
職場変更にも柔軟対応できる路線を選ぶ
転勤や転職して初めて、事前にエリアをよく吟味すればよかったと後悔しがちです。私は東京都心部に転勤になり、引っ張られるかのように東京東エリアへ引っ越しましたが、その後まさか東京をまたがった神奈川県へ転勤。たまたま便利な路線沿いであったため、横浜まで距離はありますが、乗り換えなしの通勤ラッシュもほとんどなく快適に通勤しています。
羽田空港、成田空港、日本橋、銀座、新橋、品川、上野、横浜とマルチアクセス確保と始発駅でもある便利な「青砥」
住み替えるという選択肢ももちろんありますが、一生に一度の買い物である住まいへの投資。将来的なキャリア変更の見込みがある人であれば、ある程度、支社や支店や転身まで視野に入れた上で、柔軟に通勤できる場所を選ぶことも検討に入れましょう。
最後に
通勤ストレスだけを考えて、住まいを検討する人は少ないと思いますが、よく考えず人気優先の街を選び、人気のタワーマンションを手に入れた後で、実は通勤ストレスがひどいエリア、沿線だったことがわかると、会社勤めの人にとって日々大きなストレスを抱えることになりかねません。人気があって華やかな街並みで休日楽しく、便利な生活を送る一方で、避けられない通勤も気持ちよく快適に、日々ストレスの少ない生活を送りたいものですね。