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マンション購入を検討する際、慣れ親しんだ場所や憧れの立地から探す人が多いはずです。僕もまさにそうでした。そこで「何とか手が届くかも?!」という物件を見つけたら誰しも舞い上がってしまう。でも、すぐに飛びついてはいけません。

まずきちんとした相場観を知る

まず、検討するマンションが建つ立地の相場観を知りましょう。相場を知るうえで「南向き、できれば中住戸(角住戸ではない)」を選定します。南向きの中住戸が市場相場を形成する上で一般的だからです。加えて購入検討する住戸と同等の住戸スペック。〇〇駅徒歩何分、中古なら築年数、専有面積(間取り)あたりです。

例えば、〇〇地区で〇〇駅徒歩5~10分、新築か築浅、70㎡、3LDKで数件調べてみれば、およその相場観をつかめるはずです。できれば、一番高い、低い物件をはずして平均を取りましょう。

相場は手が届く範囲か

その一般的な相場の価格に十分手が届きそうでしょうか。そこが大きな問題です。十分に手が届きそうでしたら問題ありません。たくさん物件を見て、眺望も日当たりも採光も良いマンションを選べばよいだけです。

しかしながらです。およその場合、憧れの立地を楽勝で買える!なんて人は、私たち庶民にそういないのではないでしょうか。どうしても、人気の街、憧れの街、良く知っている街に家を買いたい!と、背伸びしがちだと思います。

とにかく注意すべきは、相場観をよく把握する前に「お!この価格なら買えそう」と勢いで物件を見に行き、営業マンに押されて気持ちを傾けてしまうこと。これは絶対避けましょう。まず物件検討の前に、その周辺の相場観を押さえる。そして、その相場が自分にとって「楽勝なのか、可能な範囲なのか、手が届かないのか」を理解する事です。その上で「ぎりぎり手が届きそう」とか「割安だ」と思えた物件を検討する場合は注意が必要です。

相場より割安な物件を見つけたら

前回の記事で「一般的に割安物件は無い」と書きました。価格は、需要と供給のバランス、つまり住宅価値としての人々からの人気、評価から作られた相場だからです。

安いとすれば、以下が理由。
① 定期借地権付き物件
② 周辺相場を創る価値を相対的に享受できない物件
③ 物件自体が絶対的なハンデを背負っている物件

「東京都江東区豊洲」のマンションであれば、70㎡前後、築浅で6,000万円が平均でした。その価格を形成する価値は、「子供の学区が決まる豊洲アドレス、タワマンの価値」だったりで、それら物件から一区画、5分ほど駅から距離がある別のアドレスでタワマンでなければ、1,500万円近くも相場が下がったことが確認できました。それは、一般的には割安ではない、あくまで相場の価格ではありましたが、「僕にとっては」とてもお値打ちなマンションなのでした(以下関連記事)。

というわけで、自分の価値観に合っていれば、もしくは価値観の1つくらいを割り切って捨てられれば「自分にとって割安」なわけで買いです!

悩むくらいなら、やめましょう。大きな買い物なので絶対後悔します。選択肢を広げるしかありません。隣の駅にする、違う路線にする、隣街にする、専有面積を狭くする、中古物件にする、などです。とにかく、憧れや慣れ親しんだ立地ありきでマンションを選ぶ人には、選択肢を広げることをお勧めします。

知らない街を見ましょう!僕は、初めてから2つのマンションを無理くり世田谷区に購入しましたが、3回目のマンションを購入するときに世田谷を捨て、手が届きそうな地域を多く見ました。東京都豊島区、板橋区、江東区、墨田区、川崎市中原区と、、、。その中で、生まれて初めて降りた駅、初めて歩く街並みで何だかピンと来たのです。「この街は住みやすそうだ」と。そしてそのエリアのマンションを購入して今に至ります。マンション購入を楽しむ一環だと思って、知らない駅でも降りて街を散策し、モデルルームを色々見てみましょう。

例えば世田谷、田園都市線沿線に欲しい!

例えば、人気の田園都市線、用賀駅周辺にマンションが欲しい!となったとします。そこで、手が届きそうな物件に出会いました!

が、ここで喜んで物件を見る前に、きちんと相場を把握しましょう。

ザ・パームス用賀
お!5,480万円!何とか手が届きそうな物件を見つけました!(とします。今の僕には到底買えませんが)。

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5,480万円
東京都世田谷区中町
東急田園都市線用賀駅徒歩11分
東急大井町線上野毛駅徒歩16分
73.51㎡(3LDK)
2006年2月築
6階建ての4階
分譲:トーセイ
施工:大日本土木
(2018年、2月28日現在の情報)

ちょっと待ってください。ここで物件を見に行って、営業マンからあれやこれや言われて、前のめりになって判断を曇らせてしまう前に、冷静になることが大事です。相場を調べましょう。

用賀駅周辺の相場

駅徒歩、築年数、専有面積とう、似つかわしい物件をできるだけ探してみたら、以下の5件がヒットしました(2018年2月28日現在)。
物件A、8,950万円(2013年築、75㎡、3階、用賀駅徒歩11分)
物件B、7,680万円(2005年築、78㎡、9階、用賀駅徒歩7分)
物件C、7,180万円(2005年築、67㎡、8階、用賀駅徒歩8分)
物件D、6,580万円(2007年築、72㎡、11階、用賀駅徒歩7分)
物件E、6,580万円(2005年築、76㎡、7階、用賀駅徒歩7分)

一番高額な物件Aを除いても、平均価格は7,005万円でした。用賀駅徒歩10分圏内で、70㎡、3LDK、築10年の中古マンションは、およそ7,000万円が相場だと理解できると思います(高っ!!)。およそですけどね。

5,480万円ですよ、このマンション。相場の7,000万円からすると1,500万円も安い!疑わなきゃいけないですね、これは。

価格が安い理由

理由をよく調べずに食いついて契約して、結果お買い得かもしれませんが、人によっては大失敗するかもしれません。価値と価格のバランス、中身をよく調べたいところです。

まず、定期借地権付きマンションではありません。物件概要を見れば一目です。

そもそも、なぜ世田谷区の田園都市沿線(に限らずですが)がこれだけ高額かといえば、世田谷区と言う住環境の良さや沿線人気がブランドを創り上げてきたからに他なりません。

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世田谷区は約9割の土地が住宅地のために設定されており、それが戸建てだけでなくマンションでも低層階で採光や日当たり、眺望、開放感が望めるという住宅ブランド価値につながってきたものだと思っています。

90%以上の土地が住居系の土地で占められ、更に50%以上が第1種低層住居専用地域という、泣く子も黙る「10メートルもしくは13メートル」という建物高さ制限まであるスーパー住宅地を擁する世田谷区は、当たり前のように高い建物がないので空が明るく閑静で、十分な日当たり、採光、眺望が望めて、低層のマンションでも一戸建てと同じような住環境を得られるわけです。

そこに田園都市線用賀駅徒歩10分ほどという沿線人気、二子玉川エリア人気など、長年にわたっての人気がブランド化し、7,000万円という価格へ転嫁されていると考えます。

以上を踏まえ、当マンションが、1,500万円ほど周辺相場に比べて割安な理由は以下の3つです。

・「近隣商業地域」に建つ当マンションの地価が周辺地価より安いこと

・当マンション南向きが、交通量の激しい「用賀中町通り」に面していること
・用賀中町通りを挟んだ南側に7階建てのマンションが建っていること

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当マンションが建っている立地と道路挟んだ南側の土地が、世田谷区の土地において90%を占める住居系ではない、残り10%の用途地域の中の一つ「近隣商業地域」です。以下の図は中町5丁目周辺の用途地域を表したおよそのイメージ図です。当然、閑静で建物の高さ制限がある第1種低層住居専用地域より地価が安いことは想像できます。

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2006年分譲当時、中町通りの南側立地は駐車場であったため、当マンションは日当たり抜群でしたが、昨年、マンション南側に7階建てのマンションが建ってしまったのでした。f:id:murakoshi5:20180316083702j:image

用賀中町通りは、バス通りであることと、加えて相当な交通量のため、夕方、土日は当マンション前がかなりの頻度で渋滞しており、騒音、喧騒度が高いです。しかも住戸開口部リビングダイニング側です。そして、通りを挟んだ南側7階建てのマンションのおかげで、眺望、日当たり、採光、開放感が制限されます。眺望や開放感はないに等しいです。採光は2車線通りを挟んでいるのでさほど問題ないかと思われますが、南西向きなので、日当たりは冬場近くは制限を受けると思われます。

消費者は知っているのです。感じているのです。周辺世田谷ブランドの7,000万円する住環境マンションと比べて、「ちょっと違うな、他も見よう」と売れ残り、価格が下がってくる、そうした過去の取引事例が5,480万円という相場を形成し物件価格が付くわけです。

ですから、7,000万円負担できる方は、ほかに世田谷ならではの住環境を享受できるマンションを探しましょう。

買いか?買いじゃないか?

ということで、当マンションの良いところを次回書きたいと思います。現在、出ている価格で憧れの田園都市線、二子玉川、用賀、上野毛エリアに住みたい人で、上記のようなデメリットを我慢できる価値観を持つ人であれば、この価格は買いです。「あなたにとって」割安なマンションかもしれません!

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