大きなマンションと同じように広々ゆったり生活したい!今回は、これから2LDKのマンションを検討している人に向けて、購入する前の注意点を書いてみました。
この記事の目次
3LDKや4LDKと違って、2LDKだからこその注意!
まず、超基本的な事ですが、2LDKとは、2つのお部屋とリビングダイニング・キッチン(以下LDK)がある住戸を指します。LDKは別として、2つのお部屋とは、設計上は、ダブルベッドが置けて、クローゼットも2人分の収納能力を持った夫婦の主寝室と、一回り小さい居室(子供部屋)の、2部屋が一般的です。我が家は、私と妻と子供1人の家族3人で2LDKに住んでいますが、手狭でも、持て余すでもない、ちょうど良い広さかなと思っています。
では何故、2LDKに特定して注意するべきなのでしょうか。
それは、分譲マンション事情において、3LDKや4LDKなどの住戸単価が高い部屋にくらべて、2LDK以下の住戸は色々な意味で冷遇されがちだからです。例えば、角住戸は、2LDKの住戸より4LDKの大型住戸の目玉として使われたりします。また、後述しますが、3LDKの住戸より小さい浴槽が設置されるということもあります。
僕はおかしいと思います。もちろん専有面積に限りがあるので仕方がないことですが、4LDKに住む人も、2LDKに住む人も、広い浴槽でゆったりしたいし、広いリビングでくつろぎたい生活観は同じだと思うからです。
それでも、3LDK70㎡といわれたマンションの代表的なモデル住戸だった以前から比べると、少子化が進む中で大型2LDKという住戸は実際に増えてきてはいます。ですから、高い金額を出して80㎡でも90㎡でも広い部屋を探せる余裕がある人であれば、または、自分は狭い空間が好きだから、わざと小さい部屋を選んで購入するんだ!という人にとっては、この記事は不必要だと思います。
あくまで、家族構成や経済的状況を踏まえた上で、空間を無駄にせずに、できるだけ経済的なお部屋を探したいという方のご参考になればと思って、この記事を書いてみました。
それでは、どんな2LDKの住戸が良くて、何に気をつけるべきなのでしょうか。
2LDK住戸の理想の間取り
先ほども言ったように、いくらでもお金を出して広い2LDKを購入できるのであれば苦労はしません。3LDKでは、およそ70㎡が相場として比較検討する際のモデルとなっているので、2LDKとしては60㎡前後の広さの部屋をピックアップして理想の間取りの部屋を見つけました。以下は、実際に現在分譲中のマンションの、とある2LDK(62㎡)の部屋の間取り図を真似て、私が作成したものです。
このブログでは何度もお話ししていますが、分譲マンションのおよその住戸は、部屋の幅が6メートルスパンでできています(関連記事)。
そのような一般的な部屋の形の、2LDK60㎡という限られた空間の中で、理想的な住まいを実現した住戸だと個人的に思っています。見るべきポイントを、主に以下3点に記してみました。・ゆったりとした居室
・余裕を持った住宅設備
・住宅としての奥行き感
間取り図上の①~⑤の視点から考察します。
ゆったりした居室で生活する事
2LDKだからといって、使い勝手の良い居室で、かつ広々と暮らすことを捨てたくありません。そのために、事前に把握したいポイントは以下です。
図上① アウトフレーム設計
このブログで何度も言及していますが、住戸の4隅の柱ができるだけアウトフレームになることが大事です。限られた専有面積だからこそ、柱が居室内に張り出して、ソファやベッドなどの家具の置き方が上手くいかず、居室内にデッドスペースが出来ては痛手です。上記の間取り図は完全4隅がアウトフレーム。全ての居室がほぼ整形のスッキリとした室内で、非常に親切な設計です。アウトフレームになることで具体的に何が良いのか詳しくは関連記事で(マンション購入で気をつけたい事(過ごしやすい主寝室を選びましょう!) - すまいよみ)。
図上② 可動式間仕切りで柔軟な空間利用
2番目に、限られた空間を効率的に使用することで、広々としたLD空間を創り上げられるかがポイントになります。LDは住戸の顔であり、住人が一番時間を使って生活する空間だと考えるからです。近年、LDと隣の部屋の敷居を可動式の間仕切りタイプにして、隣の部屋を使用しない時は、間仕切りを開放してLDと一体化した大型空間にする仕様のマンションが増えてきています。
2LDKでは特にここは重要です。上記間取り図のように、洋室2のウォールドアを開放すると、60㎡の住戸でも、16.7帖という巨大なLD空間になります。大きなL字型のソファだって置けるようになります。
ここでポイントとなるのが、夫婦、もしくは住戸の持ち主が使用するであろう主寝室の位置が『LDと隣り合わせではない』事です。LDの隣は洋室2であることが大事になります。
洋室2が、子供がいない期間などにおいて「ベッドを置かない部屋」である場合、間仕切りを開放して柔軟に空間利用できるからです。主寝室がLDの隣だと、そうはいきません。開放しても、隣が主寝室なので、ソファやテーブルを置くLD空間として使用できず、客人が来ても開放できません。
LD空間の広さより、主寝室を明るいバルコニー側に持ってきたい人もいるでしょう。それでも、LD空間の広さが捨てがたいという人は、マンションの中住戸の主寝室は廊下側で暗いのが一般的ですから、ここは寝るための部屋と思って割り切りましょう。もちろん、角住戸で廊下側の主寝室に窓が2つあって明るい部屋であれば言うことなしですが。
以上、60㎡という限られたスペースの中で、大型住戸に引けを取らずに広々と空間を使用するために、まず第一に確認しておきたいポイントになります。
余裕をもった住宅設備で生活すること
住戸の専有面積が小さくなると、部屋数が少なくなり、部屋が狭くなり・・・と、ここまでは仕方がないかもしれませんが、一般的な分譲マンションにおいては、浴槽、洗面室、キッチン、トイレと住宅設備においてまで比例して小さく設計されてしまう傾向があります。1LDK、2LDK、3LDK、4LDKの住宅設備の大きさ、広さをよく見比べてほしいと思います。住戸の広さと住人の住み心地、使い勝手は関係ありません。つまり、1LDKに住む人も、4LDKに住む人も、広いお風呂でゆったりしたいし、大きいキッチンで幅広く料理をしたいことに変わりはありません。
もちろん、専有面積に限りがあるので、100㎡の4LDK住戸と、60㎡の2LDKの部屋の住宅設備の大きさ、広さ、使い勝手を同じものにするには無理がありますが、できれば3LDKのファミリータイプと同様の利便性を持つことは、住戸を選ぶうえでの基準にしたいです。詳しくはよく間取り図を見比べたり、実際のモデルルームで感じてほしいのですが、例えば以下を目安にしてみるとよいでしょう。
図上③ 浴室と洗面室
上記の浴室の間取り図を見ると「1418」と記載されています。これは、浴室の広さが「1.4メートル×1.8メートル」であることを示しています。大型住戸では「1618」「1820」なども見られますが、通常のファミリータイプのマンションは「1418」が圧倒的に多いです。最低限、2人でゆったり浴槽に入れる広さかと。これが2LDKの住戸だと、まれに「1317」や「1216」があるので注意が必要です。ここは3LDKと同様「1418」であるかを事前に確認しましょう。
次に洗面室の広さと洗面台の幅を見ます。小型住戸では洗面室を狭くし、タオルや下着を入れる「リネン庫」を小さくする傾向にあります。洗面室の広さの目安は70㎡前後の3LDK住戸の広さを判断基準に見比べてほしいです。また洗面台のスペース幅については、以下のような間取り図上の表記を参考にしてみてください。
住戸面積が大きくなるにしたがって、右のように洗面台が幅広になっていくよう設計されている場合が多いです。例えばですが、真ん中の図は3LDKでもまれにケチった洗面台、右が一般的な幅が広めの3LDKの洗面台。2LDKで効率的なスペース利用のために左図のような洗面台であったとするなら、使い勝手が格段に悪くなってしまいます。事前にチェックしましょう。図は例なので、3LDKの間取り図の洗面台をよく見て比較しておきたいです。
キッチン
帖数とキッチン天板の長さです。キッチンの帖数は表記されている場合が多いのでわかりやすいです。3LDKタイプでおよそ3.0帖以上。なので、2LDK住戸を選ぶ際も目安は3.0帖以上です。上記住戸のキッチンは3.4帖あり、少しゆったり目です。2.7帖など手狭なキッチンの2LDKも多いので、事前に確認しましょう。また天板の長さですが、こちらも事前に仕様をよく確認しましょう。シンクやコンロ以外のスペースが少ないキッチン天板は、言わずもがな料理がしづらくなります。住戸の広さによって、使用する天板の長さも変わってくる場合があるので、注意して見ておきましょう。
トイレ
トイレも住戸によって広さがまちまちで、住戸面責に比例しがちです。こちらも、まあ、できれば、余裕がある広さを確保したいところです。
以上、住宅設備については、住戸の専有面積に比例して小さくされてしまう傾向がありますので、できれば、2LDKを選ぶ際も、上記の住戸の間取り図のように、3LDKと同等の使い勝手を確保できる広さ(大きさ)の住戸を選ぶよう、よく事前に吟味することが必要だと考えます。
住宅としての奥行きをもった生活をすること
2LDK60㎡と小さめのおウチでも、簡単に2つのお部屋とLDKだけ・・・ではなく、住宅としての奥行き感やプライバシーの確保といった邸宅としての価値を少しでも高めたいところです。そのために、この間取りの住戸の中では2つのポイントがあります。
図上④ アルコープやポーチ
「アルコープ」とは、住戸住人のための、主に玄関前プライベート空間です。門扉がある場合を「ポーチ」と呼んだりします。
この住戸の間取り図上は、アルコープとなっており、共用廊下との境目に門扉はないものの、住戸住人のためのプライベート空間になります。住戸前にプライベート空間があることで、ちょっとした作業ができたり、玄関を開けた際の人の視線や、主寝室前の人の気配から逃れることができます(関連記事)。
図上⑤ クランクイン(横入)玄関
クランクイン玄関とは、ジグザグにクランクしながら住戸に入る仕様の玄関です。
この間取りの部屋の玄関は、クランクにするために、あえてひと手間かけて横入り玄関にしています。共用廊下から玄関を開けた際に、直進で住戸のリビング、ベランダまで見ることができないので、複雑な動線になり住戸としての奥行き感が出ます。小さめのマンションだからこそ、住む上で大事な住宅価値だと思います。また、客人や配達員などと玄関先で対応する際に、中を見られないので、住戸内のプライバシーを守ることができます(関連記事)。
ちょっとしたことですが、手狭な住戸だからといって手を抜かず、住人のために気の利いた設計をしています。
以上、素敵な2LDKの住戸を選ぶためのポイントを述べてきましたが、僕も今住んでいるマンションは2LDKで、僕なりに理想の2LDKの住戸を手に入れました(関連記事)。
家族の人数や経済的に加味した上で、2LDKのマンションを購入する際は、住戸が4LDKや3LDKより小さいからといって、生活観まで小さくしたくないので、事前によく吟味して住みやすい2LDKの住戸を選んでほしい、というお話でした。