前回まで、マンションにおける角住戸の価値とメリットについて、そしてメリットを活かせる部屋の間取りについて書きました。「明るさ、眺望、開放感、風通し、プライバシー」とうのメリットを享受するために選ぶ角住戸の間取り。最後に注意すべきポイント、それは角住戸の隣接の環境を事前によく見ることです。
前々回:角住戸の価値・メリット
前回:角住戸のメリットを活かす間取り
この記事の目次
角住戸に建物が隣接している
明るさや開放感が一番のメリットの角住戸にとって、これは致命傷です。せっかく角住戸を選んだのに、大きな建物が隣接していて、部屋の中が隣の建物の陰で暗くなってしまう、開放感がない角住戸は、中住戸と同じです。
隣に大きな建物があるかどうかは事前に見ればわかることですが、隣の建物が何階建てかを踏まえて角住戸を選ぶ必要があります。例えば、隣に5階建てのビルが建っていたとすると、5階以下の角住戸を選ぶと窓の外は隣の建物の5階部分。6階以上だと窓の外は隣の建物の屋上なので、空(景色)が抜けているというように、5階と6階では「明るさ、眺望、開放感、風通し、プライバシー」の面で天と地の開きがあります。すでに物件が立っている場合は現地を見ることができますが、特に大手の物件など建設前にモデルルームで事前に購入する際は、営業マンに角住戸の隣接している建物と物件(住戸)の階数の高さの確認しておきましょう。
加えて大事なことですが、できる限りの明るさと眺望、開放感のために、とにかく上層階を選びたいです。実際に入居してから理解できることもあります。例えば、僕の今のマンションは角住戸で5階ですが、購入する際、6階も空いており価格が20万円しか変わりませんでした。にもかかわらず、よく考えず5階を選択。1階変わるだけでも、周辺の建物からの開放感が違いますし、6階だったらリビング側から見られたはずの花火大会が、5階だと半分隠れてしまって、ちょっとショックでした。何度も言いますが、「3階と4階?」「25階と30階?」どっちでも十分の高さではないのです。後悔しないために、迷ったら絶対に価格(階層)が高いほう!です。
交通量の多い主要(幹線)道路が隣接している
片側2車線以上の幹線道路や、交通量の激しい主要道路に隣接している場合、騒音や排気ガス(空気)、粉塵が問題になります。音の問題だけでなく、騒音、空気、匂い=窓を開けなくなるので、風通しのメリットが結局活かせなくなり、加えて騒音や喧騒によって開放感をも阻害する要因になってしまいます。中住戸でもLD面が主要道路に面している物件は「ちょっと待った」ですが、角住戸になると、その喧噪や排気ガスなどの浸食が倍になるということ。結論、交通量が激しい通り沿いの角住戸は避けたほうが良いです。
将来的な周辺環境、隣接した敷地
購入時は、上記主な2つの問題をクリアしていたとしても、近い将来、隣接の環境が変わる可能性もしっかり見ておきましょう。「第一種住居専用地域」では高い建物が立たない、「準工業地域」では高い建物が立つ可能性があるなど、隣接の用途地域(大枠で土地の利用を定めるもの)を事前に確認することも大事です。
更に大事なのは、自分たちがこの先おそらく10年単位で住むであろう中長期的に考えて、隣接する土地が現在どのような形になっているか、「自分の目で」見ておくことです。
例えば、隣や周辺が広い土地利用でも「公園」であれば、しばらくは角住戸を邪魔するような巨大な建築物は立たないだろうと推測できますし、「空き地」や「駐車場」などであれば、逆に近い将来大きな建築物が立つことが考えられます。自分の目で見る事、それと営業マンに詳しく聞くことです。マンションにおける周辺環境のことについては、詳しい「用途地域」のことも含め、また別途書きたいと思います。
以上のような注意点を踏まえると、実際の物件の間取り図からも、角住戸の置かれている状況を推察できます。
環境が良さそうな角住戸の間取り
角の洋室(1)とLDに開口部が広い窓を使用しているため、隣接環境はおよそ良好だと考えられます。あとは、隣や近くに建物が立っているようなら、できるだけ高層階の住戸を選ぶこと、高さをよく吟味することですね。
環境が制限されてそうな角住戸の間取り
角住戸であるにもかかわらず、LDにしか開口部がありません。玄関横の5.0帖の洋室(2)の側面になぜ窓がないのか気になります。実際、この物件の横には同じ高さのマンションが建っており、『洋室はプライバシーの確保のため開口部を設けなかった、それでもLDは半分ほどが隣の建物にかかっている程度なので、せっかくの角部屋だから窓を設けた』と僕は考えました。LDの側面の窓は、日中でも常に厚手のレースのカーテンを敷いていないと、隣接からのプライバシーの面で問題がありそうでした。
環境が悪そうな角住戸の間取り
部屋の間取り自体は面白いですが、角住戸であるにもかかわらず、遠慮がちな側面の窓が気になります。そもそもLDKについて、側面をキッチンにしてしまい、換気程度の小さい小窓だけ。側面窓側をLDにしてもっと大きな窓にしてほしいと思ってしまいますが、この物件の隣が、直で主要幹線道路に面しているため、『騒音を気にして開口部を小さくしている、なのでLDでなく、キッチンをわざわざ角に持ってきて、換気程度の窓を設けた』と推察しました。僕は実際に、この物件に住むのであれば、うるさい大通りに面している角住戸よりも、中住戸のほうが良いと感じました。
このように、周辺環境が、角住戸の間取りに確実にと言って良いほど表れます。
以上、3回に分けて、角住戸について書いてきました。角住戸を上手に選ぶためには、自分に合った角住戸のメリットを押さえた上で、メリットが享受できる間取りと、物件の隣接している環境をよく吟味して決定することです。