マンションは、一つの建物の中に、各々の住戸がコンクリートの壁1つで仕切られた集合住宅です。だったら誰しもが、可能な限り角住戸に住みたいはず?!ということで、前回は、角住戸のメリット、デメリットなどについて書きました(関連記事)。
それでも角住戸なら何でも良いというわけではありません。今回は、角住戸のメリットを活かせる間取りを何点か紹介します。
この記事の目次
角住戸のメリットを活かす間取り
マンションの代表的な間取りである中住戸は、開口部(窓)がリビング側と共用廊下側の2面だけしかないこと、その特徴を以前にも述べました(関連記事)。
中住戸のリビングダイニング(以下LD)の開口部においては、陽当たり、採光豊かな住戸の顔になりますが、一方で、主寝室、子供部屋など洋室については、一般的にマンション棟内の暗い共用廊下側の配置となるので、部屋の明るさは望めない場合が多いです。また、両隣の住戸の壁に囲まれていますので、住戸全体の開放感がありません。
なので、マンションに住むなら、できれば角住戸を選びたいものです。
前回、角住戸の定義として、開口部が3面以上ある住戸とし、そのメリットとして、主に「明るさ、眺望、開放感」、「風通し」、「プライバシー」について述べましたが、そのメリットを活かしてくれる間取りを何点か紹介します。
間取り①:LDが2面開口部(窓)
リビングダイニング(以下LD)は、休日の日も平日の夜も、1日の時間の中で多くの時間を過ごす中心的な空間なので、普通の中住戸のLDの開口部でも、陽当たりと採光を重視した住戸の顔になります。角住戸であれば、そのLDの側面にもう1面多く窓があることで、採光、風通し、眺望が更に豊かに、特に両側を壁に囲まれている中住戸より、圧倒的に開放感が増す部屋となります。角住戸の基本ですね。角住戸のメリットを活かすなら、最低限LD2面は、まず押さえておきたいです。
間取り②:主寝室が2面開口部(窓)
主寝室に2面開口部があるプランです。中住戸では、主寝室は共用廊下側に位置し、採光や風通しに恵まれないケースが多いです。通常LD側と共用廊下側の2か所しか開口部を設けられない一般的な中住戸としては、最も大事な空間であるLDを優先的に明るい開口部の方にすることは仕方のないことです。
しかしながら、寝室を「夜寝る」空間だけでなくアクティブに使用するために、加えて、睡眠の質の向上、すなわち睡眠からの自然な覚醒のために、寝室は、朝明るくなる環境が必要とされている理由から、角住戸を選択する以上、住戸のあるじ、夫婦で使用する主寝室については、2面採光の明るい部屋にしたいです。夏場は共用廊下側の窓を開けて寝るのは憚られますが、側面の窓は気にせずに開けたまま就寝することもできます。
逆に以下のように、2面採光が、主寝室でない逆のほうの洋室だと、本当にもったいないと思います。
物件を見ているとよくあるケースなので、この「逆」には気をつけたいです。住戸のあるじ、夫婦では使用しない部屋になりますし、子供ができない、もしくはできたとしても小学生くらいになって一人の部屋を持つまでに使用用途がない部屋になることから、角住戸のメリットが半減しますので、事前にどちらが2面採光になっているかよくチェックしておきましょう。
間取り③:すべての居室に側面もしくはLD開口部(窓)
すべての居室が、「暗い廊下側でなく」、側面開口部もしくは明るいLD側に接しているため、すべての部屋が明るい環境になります。これすなわち、共用廊下側に接している暗い部屋がないことで住戸内全部が明るくなり、開放感が増すということです。どこを開けても全体が明るい「おウチ」になります!ただし注意点は、後でも書きますが、側面部の隣に陰になるような大きな建物が立っていない事です。それと当然、窓が大きいに越したことはありません。
間取り④:共用廊下側に開口部(窓)がない
側面開口部に窓を設けることができるため、共用廊下側の開口部をつぶすことができます。そのメリットとして共用廊下からの物音、人の気配からのプライバシー性や、空き巣やいたずら、物色などの被害からの安心性を高めることができます。特に3,4階以上の住戸の高さになれば、当然外部からの侵入や物色なども防げますし、共用廊下側には開口部がないわけですから、格段にプライバシーの確保が保てます。
間取り⑤:水回りに開口部(窓)
一般的なマンションは、戸建てと違い、居室以外に窓を設けることは稀です。角住戸なら、キッチン、浴室、トイレ、洗面所等の水回りに窓を設けることが可能です。水回りに自然採光、風通しを入れるメリットは言うまでもないでしょう。
間取り⑥:側面開口部にバルコニー
バルコニーは通常LD開口部に位置しますが、角住戸は、側面開口部にバルコニーを設けるプランも存在します。バルコニー面積が増えて様々な用途に使用できるメリットに加え、特にある程度の高層を特徴とするマンションの角住戸においては、窓枠の下にバルコニーがあることで、人、モノの落下を防ぐ安心感につながります。例えば小さな子供を育てるとき、窓を大きく開けても万が一の居室からの落下に備えることができ安心度が増します。我が家は側面開口部にバルコニーがないため、子供に万が一があってはいけないと、側面の窓は子供の体の幅以下にしか開かないようにカギをかけていて窓を少ししか開けられないため、風をあまり入れることができません。
間取り⑦:玄関前にポーチがある
マンションにおけるポーチとは、玄関の前に門扉をつけたスペースのことを言います。通常、マンションの玄関の前は共用廊下で人が往来しますが、角住戸の前は、そこの住人しか利用しない空間のため、ポーチが設けられることが多く、ポーチがあると更にプライバシー性や安心性が増すことに加え、門構えのような戸建て感覚を味わうことができます。
またポーチは共用廊下と同じ「共有部分」であるものの、ポーチ内にある程度、住民の個人的なものを置くことが許させる場合もあるようです。
以上、色々なタイプの角住戸における間取りを見てきました。上記の間取りをすべて網羅することは不可能に近いですが、個人的には、角住戸を選ぶなら、最も重要な2つの部屋である、「LD」と「主寝室」両方の2面開口部(窓)は外したくないですね。
何度も言いますが、角住戸のメリットは「明るさ、採光、眺望、開放感、風通し、プライバシー」です。それらのメリットを活かせる間取りになっているか、角住戸だからというだけで手放しで喜ぶ前に、よくチェックしましょう。
次回は、角住戸を選ぶ際における注意すべきポイントについて、更に細かく書きたいと思います。