マンションは、コンクリートの壁1つで隣の住戸と接している場合がほとんどです。どうせ選ぶなら、両隣が隣人に囲まれている部屋より、やっぱり角住戸が良いのでしょうか?一般的には、無条件で角住戸が良いように思われていますが、角住戸を選ぶにあたってのメリットデメリット、角住戸ならではの選ぶ際の注意点を、3回にわけて書きたいと思います。
この記事の目次
マンションでいう角住戸の定義
マンションは、一つの建物の中に、コンクリートの壁を境にして住居が並んで作られている場合がほとんどなので、角住戸と、両隣の住戸に囲まれている中住戸が存在します。角住戸とは、マンション内に配置されている住戸のうち、角に配置されている住戸の事ですが、角住戸と中住戸の違いを明確にするために、ここでの角住戸とは、住戸の開口部(窓)が、3面以上ある住戸と定義します。中住戸と同じように玄関側とリビングダイニング側(以下LD)の2面しか開口部がない角住戸は、ここで述べる意味があまりないと考えるからです。
マンションにとっての角住戸の価値
物件によっては、広告を打ち出す際、「角住戸率50%!」などとアピールされている場合があります。一般消費者にとっても、マンションにとって角住戸は価値があるように認識されています。それは、マンションがほとんどの場合において、デベロッパーの事業効率を踏まえる中、およそ以下のような建物設計になりがちで、一つ一つの独立した住戸にはならないからです。
これだと、どうしても中住戸を選ばざる負えない消費者が出てきてしまう、そして、当然一般的に考えられる角住戸のメリットを消費者は理解しているわけですから、マンションにおいて角住戸は相対的に価値が高い住戸とみなされるわけです。以上を踏まえて、角住戸のメリット、デメリットを見ていきます。
角住戸のメリット
マンションは戸建と比べて高層階の明るさや眺望が売りであったりしますが、角住戸のメリットは、マンションの良さを更に引き立たせるところにあります。
1、 部屋の明るさ、眺望、開放感
何といっても、住空間の良さにつきます。以下のような一般的な中住戸では、LD側は明るいのですが、玄関側の主寝室、洋室については、窓が大きくとれません。加えて暗い共用廊下部分に隣接している場合が多いので、日中電気をつけずに過ごすことは難しいです。
共用廊下側の居室は、寝室に充てられ、ほとんど日中は使用しない部屋と化します。
3面開口の角住戸では、以下のように、LD側だけでなく、側面においても採光があり住戸全体を明るくします。高層階だと眺望も望めます。
日中、照明を付けずに作業するにも気持ちよいでしょう。天気が悪い暗い日で、レースのカーテンをしていても、夕方まで電気を使用せずに過ごすことができます。天気の日は気持ちよいくらい明るいです。
また、寝室も同様とにかく1日明るく、暗い廊下側の寝室と違って、寝る以外の用途で、日中電気を使用せずにアクティブに使用できる空間になります。以下の画像は、台風の日ですが、レースのカーテンを敷いていても十分すぎるくらい明るいです。
そして、何より圧倒的な開放感です。出不精で部屋でゆっくり過ごすことが好きな僕にとって、角部屋の明るさ、眺望、開放感も気に入っています。特に所狭しと立ち並ぶ建売りや、そうでなくとも、よほど周辺環境が良くなければ、一戸建てでは中々こうはいかないでしょう。
しつこいですが、角住戸の良さは、戸建てにはないマンションの良さを更に引き立たせる「明るさ!開放感!」につきます。
2、 風通しが良い
開口部の向きも数も多いので、どの風向きでも風が入ってくる確率が当然高くなります。「風が抜ける」ことは、周辺環境によって違うので、角部屋だから良いとは一概には言えませんが、風は少なからず入ってきます。特に、東向き、北向きは夏場でも涼しく、東京都内であるにもかかわらず、真夏でも冷房を使用する機会が減ると思います。
3、 プライバシーが保てる
一番隅の角部屋は廊下の人の往来も少なく、片方隣の住戸もないため、何かと気を遣うことが少なくなります玄関前、ベランダでの作業などでもプライバシーが多く保てます(関連記事)。
角住戸のデメリット
隣の住戸が存在しないことで、やっぱりデメリットもあります。
1、 寒暖の問題
先ほどの風通しが良い事のデメリットですね。マンションは、住戸が接地されているので、各住戸が暖房を使用すると、中住戸は温かい、つまり省エネ効率が高いとよく言われます。一方で角住戸は寒々しいです。東と北に面している部屋は、夏は涼しい分、冬は格段に寒いです。「スースー」します。中住戸は、真冬でも「スースー」がないんですよね。真冬でも夜に帰宅すると、なんだかホワッとした温かさがあります。その感覚が角住戸だと少ないです。これは高層になればなるほど顕著になるでしょう。北東向きの角住戸に住んでいる僕の友達は、入居後、暖房があまりに効きづらく、ウン十万円もかけてサッシを二重にしていました。
2、角住戸は価格が高い!
価格は結局需要と供給のバランスなので、当然のことかと思います。同じくらいの広さで、角住戸と中住戸の価格差が1割くらい違ったりします。それでも、35年ローンで銀行から借り入れる一生モノの買い物です。1か月に換算したら、いくらでしょう!?迷ったら、絶対高いほうをお勧めします。
3、 他にもデメリットはありますが・・・
角なので、エントランスまで遠くなりがちとか、中住戸に比べて周辺の音を拾いやすいとかありますが、正直、部屋の中の明るさや開放感と比べたら、なんてことはないデメリットです。それより、角住戸を選ぶ時に気をつけたいことを別途書きたいと思います。
マンションの規模と角住戸の位置づけ
上記を踏まえて、特に角住戸に何としても住みたいと思った人は、物件選びから気をつける必要があります。マンション規模によって角住戸率が変わってくるからです。もっともらしいことを書いていますが当たり前です。マンションの規模が大きければ、中住戸も当然増えるので角住戸数は少なくなり、価値も相対的に高まり買い手も早くつくでしょう。一方で、小規模マンションは中住戸が少なくなるので、広告で「角住戸率50%!」とうたっているように、角住戸を売りにしている小規模マンションは多いです。
調べられる範囲で、角住戸の割合を調べてみました。調べられる物件で、2階の1フロアを切り取った住戸数と角住戸数からの角住戸率です。上の階に行けば行くほど角住戸率が高まりますので、実際はそれぞれもう少し角住戸率は高くなります。僕の独断と偏見で勝手に調べた数字なので、参考までに見てください。
大規模マンションの角住戸率は18.8%
大規模マンションの定義を住戸総数200戸以上として調べてみました。大手のマンションに多いですよね。160戸調べたうち、角住戸は30戸でした。
こんな大規模マンションだと、ほとんど中住戸ですね・・・。角住戸を選択するにも難しいかもしれません。大規模で人気がある大手のマンションは、角住戸もすぐに買い手がついてしまうでしょうから。
中規模マンションの角住戸率は35%
中規模マンションの定義を100戸以上200戸未満にして調べてみました。こちらは60戸調べたうち、角住戸は21戸でした。
小規模マンションの角住戸率は70%
こちらは、50戸未満を小規模マンションとして調べました。10戸調べて角住戸は7戸。小さい用地に小規模マンション。中住戸が少なくなるので当然ですよね。
こんな小規模マンションなら、見た感じでも、3部屋に2つは角部屋ですね。
つまり、角住戸にこだわって住みたい方は、そもそも大規模マンションから選ぶのは困難です。
最後に
以上、今回は主に角住戸のメリット、デメリットを話しましたが、とにかく、角住戸のメリットは、そもそも戸建てにはないマンションのメリットを、更に圧倒的に引き立ててくれる「明るさと眺望、開放感」です。
それでも、角住戸を選べば手放しで良いというわけではありません。次回は、角住戸を選択する際に見るべきポイントについてお話しします(以下記事)。