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マンションの部屋の間取りは、デベロッパー都合によって、およそ代表的な2つのタイプに集約されます(関連記事)。

一方で、一般的なマンションを選ぶ際、中々お目にかかれない間取りもあります。今回はクランクイン玄関(廊下)がある間取りについての特徴と、住人にとって何が嬉しいのかについて。

 

クランクイン玄関(廊下)がある間取り

マンションの間取りは、効率性を重視するデベロッパー都合で、多くが以下のような「田の字型」プランになります。

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玄関を開けたら、直線ですぐリビングダイニング(以下LD)に直結しますので、そのままLD、外の景色まで見られるのが一般的なマンションの間取りの玄関ということですね。

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一軒家ではあまり考えられないと思います。それだけマンションは、間取りの工夫よりも、効率的な空間利用を重視しています。

それでは、「クランクイン」とは何でしょうか?「クランク」の意味を調べてみると、「道路をジグザグにしたり蛇行させたりした部分」でした。よく自動車免許を取得する際、クランク教習というものがあると思います。間取り図にすると、以下のようになります。

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玄関からジグザグに廊下に入っていきます。玄関入って、家の中に進む前に壁にぶつかり、左手に折れていますね。

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以上は、玄関がクランクになっているタイプですが、居室やLDまで廊下がクランクになっている場合はクランクイン廊下です。このような設計の玄関・廊下は、一般的なマンションの間取りでは中々ありません。

クランクイン玄関(廊下)の間取りについて嬉しい点

では、クランクインは一体何が嬉しいのでしょうか。

① プライバシーの確保

一般的な間取りの玄関は、玄関を開けたら、そのまま直線でLDまで見えてしまいますが(LDのドアは、ほとんど木枠の中は透明ガラスですよね)、クランクインだと部屋の奥まで見られません。宅配業者さんなどが訪ねて来ても、部屋の中まで見られることはありません。玄関を開けた時に、廊下を通りかかった人にも家の中まで見られることはありません。玄関を開ける時や訪問客とやり取りする時に、LDで子供が裸で踊っていても、妻が裸で踊っていても、気を遣うことがないということです。

② 邸宅感が実感できる

マンションの一般的な間取りだと、玄関入ってLDまでを見渡せてしまえるので、一つの大きな部屋、例えばホテルの一室のようで、「家」としての奥行き感が実感できません。一方クランクインは、部屋の隅から隅までが見通せず、玄関からLDまでの見通しが切り離されているので、戸建てのような奥行きのある「邸宅感」が味わえます。

地味に思うかもしれませんが、1住戸、1フロアのみの小さいマンションの一室にとって大事なことだと思っています。住み始めてから、入り組んでいる廊下を行き来していると、ジワジワ「家」というものを実感してきます。「遊び」を演出していて贅沢なつくりなんですよね。

③ 廊下でインテリアを楽しめる

一般的な間取りだと、狭い直線の廊下でインテリアを楽しむ空間も持てませんが、クランクインの玄関、廊下だと、玄関や廊下の突き当りに絵やオブジェなどを飾ることができます。

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初めて購入したマンションが、クランクインの玄関、廊下でしたが、訪ねてきた人からは、「マンションなのに広くて素敵な玄関ですね」と好評でした。一般的なマンションだと、そうはいきません。

クランクイン玄関で注意するべき点

注意すべき点というか、マイナス面ですね。

① 空間利用が非効率

空間の効率的な利用が、部屋を設計する上で一番の悩みどころです。一般的なマンションには取り入れられない理由ですね。クランクにして、廊下周りに面積を取られることで、同じ広さの住戸と比べて、LD、他の居室、収納など生活スペースが一回り小さくなってしまいます。逆に言えば贅沢なつくりな訳です。ですから、肝心なLDや居室も、ゆとりを求めたければ、一般的な70㎡規模の部屋で非効率なクランクインを採用するのは少し無理があるように思えます。80㎡クラスの大型物件や高級マンションによく使用されているのがわかりますね。

② 大型家具が部屋に入らない!?

実体験です。入居時、ダブルベッドがジグザグのクランク廊下で、つっかえてしまい入りませんでした。結局、外のLDに面した通りから持ち上げて、LDの窓枠から入れました。我が家は2階だったからよかったのですが、これが高層マンションだったら入れることができたでしょうか。大型家具の出し入れは注意が必要です。

③ 廊下は暗いです。

代表的な間取りでは、玄関からLDまで見られたイコール、クランクインでは、届きやすかった採光が玄関(廊下)まで届かず、必然的に暗い空間になります。

最後に

以上、戸建てでは当たり前のような玄関と廊下の入り組んだ造りが、一般的なマンションでは中々できません。クランクインの玄関、廊下を採用し、かつ居住スペースもゆとりが持てているマンション、住戸は、珍しい贅沢な間取りになります。

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