f:id:murakoshi5:20170825003855p:plain

今回は、住宅購入後に費用としてかかる固定資産税と都市計画税について書きたいと思います。大事な事は、契約前に「入居後のおよその年間負担金額」と「入居後、支払額にどのような変更があるか等の注意点」を、住み始めてからも失念しないようによく理解しておくことです。住まいにおける大事な税金の事なので、住んでみて実際に送られてくる課税明細書を見ながら、難しくてスルーしてしまいがちな税額の算定方法について紐解きたいと思います。

【目次】

 マンション購入前に、税金のことを理解しておく

1月1日時点に、住まいという資産を持っていると、固定資産税という税金の負担が発生します。都市計画税とは、同じく住まいを持つと、街の整理や計画事業に協力するために徴収される税金です。固定資産税と都市計画税は同時に徴収されるので一緒に見ていきたいと思います。

まず、簡単な事ですが、購入を検討している時に、住み始めてどれだけの税金がかかるのかを意識して理解しておきましょう。

マンションの営業の人は、契約以前に、資金計画表などで見積額を出してくれます。一般的なファミリータイプを購入すると、年間負担十数万円が大体の金額でしょうか。僕も今のマンションの資金計画書にしっかり記載してありました。

固定資産税は、現在の制度上、新築から5年間優遇措置が取られているので、6年目以降金額が上がります。

出してくれた税額の見積もりは、優遇措置された金額なのか、優遇期間が終わった後の金額なのかを確認しておく必要があります。

もちろん、優遇措置がされている5年間の安い金額を提示して、「税負担はこんなもんですよ」などという、悪どい不動産屋さんはいないと思いますが、それより、住み始めて、最初の固定資産税、都市計画税については、提示された金額よりも安い金額が来るので、事前にメモでも残して「5年間は優遇措置で当初見積もり額より〇〇円ほど安い」と意識して理解しておきましょう。

 

固定資産税、都市計画税、住み始めてからの注意点

どれくらいの税金がかかるかを理解したうえで、後は購入してからの注意点ですね。

1月1日時点で住まいを保有していれば納税通知書が送られてくるのは同年の6月です。

支払い方法ですが、一括払いか、以下のように4回に分割して支払うか選べます(スケジュールは東京都の場合)。
第1期:納期限6月30日まで
第2期:納期限10月2日まで
第3期:納期限12月27日まで
第4期:納期限2月28日まで

これ、来年の2月まで支払いを利子なしで待ってくれるので、しっかり覚えていられるのであれば、4回に分けて支払ったほうが良いと思います。数万円でも寝かせたお金を半年間運用できるわけです。

またクレジット払いをできる自治体もあるらしいのですが、その場合は更に引き落としが遅くなる上にポイントも付くので、クレジット払いをお勧めします。

それと、一番の注意点は、実際に初年度から5年目までの負担税額は優遇されていることを確実に認識しておくことです。

例えば、事前に税額を12万円と見積ってくれていて、初年度7万円で通知が来たとしたら、「ああ、何だ税金て実際はこんな金額か・・・」ではないです!5年間優遇されているのです。6年目以降、12万円になることを必ず覚えておいて、支払いの計画をしっかり忘れずに立てておきましょう。ここをウヤムヤにしてしまうと後で痛い目にあいます。

減税措置が終わっても、税額は上下することがあります。その理由は、不動産の評価額を3年ごとに更新しているからです。建物の金額は通常減価償却(時間とともに価値が下がること)により評価額は下がっていきますが、資材費の高騰などの要因もあるため、必ず下がるとも言い切れません。また土地については、当然評価時点で変わってくるものなので、バブル時の高騰を見ればわかるように、上振れする可能性もあります。

最後に、税額の算定額ですが、人がやっている事なので、間違いが全くないとは言い切れないらしいです。過信せずに一度は必ず自分で資産を算定しておきましょう。不服申し立てができるので、おかしいと思ったらきちんと問い合わせをしましょう。

というわけで、以下で、自分の資産がどうやって算定されているのか、なぜそのような金額になるのか、専門的な領域までは無理にしても、ある程度の流れはつかんでおきたいと思います。

マンションの部屋はどのように課税(資産評価)されているのか、納税通知書の見方を理解する

通知書が来たら、支払っている税金のことなので、しっかり見方を理解しておきたいですね。

まず、送られてくる「納税通知書」の表紙ですね。以下の画像は、私の家の今年度の通知書です。

f:id:murakoshi5:20170824233547p:plain

「土地」692,600円は、固定資産税を算定するための土地評価額です。
「家屋」6,632,100(上段)は、固定資産税を算定するための家屋(建物)評価額です。
「土地」1,385,300円は、都市計画税を算定するための土地評価額です。
「建物」6,632,100(下段)は、都市計画税を算定するための家屋(建物)評価額です。

その資産評価額に対し、左下の「税率」
固定資産税「1.4/100」、都市計画税「0.3/100」を、基準評価額に掛け合わせた金額が税額になります。

土地の固定資産税、692,600円×1.4%=9,696円
家屋の固定資産税、6,632,100円×1.4%=92,849円
土地の都市計画税、1,385,300円×0.3%=4,155円
家屋の都市計画税、6,632,100円×0.3%=19,896円

計算してみると、

固定資産税合計:102,545円
都市計画税合計:24,051円
合計税額:126,596円

ですが、通知表に記載している金額はというと、

固定資産税合計:56,000円
都市計画税合計:21,900円
合計税額:77,900円

違いますね。

私はここに移り住んで5年なので、その差額は上述したように、新築5年間の軽減措置の分と推測できます。
「今年は77,900円納めればよいですね」と言ってしまえば終わりですが、計算方法が全く分からないので気持ち悪いです。来年軽減措置が終わり、来年から正式に負担額がいくら増えるかも知りたいです。

それと、更に疑問がわきます。何千万もして購入したマンションの土地代評価額が69万円?132万円?どっち?かという疑問以前に、この金額安すぎませんか?もちろん税金を支払う上では良いことですが、マンションを高く買いすぎてしまったのでは?と、なんか土地の評価額に納得がいきません。

そこで、別紙の「平成29年固定資産税・都市計画税課税明細書」まで見てみましょう。

土地の固定資産税・都市計画税の算定方法

ちなみに、税率、算定方法は、都道府県によって若干違いがあります。ここでは東京都を例にとってみます。

f:id:murakoshi5:20170822233301j:plain

まず「土地」の固定資産税です。

見にくいですが、左上、2,463㎡は、マンションの土地面積です。そのすぐ右隣りの数字577,879,610円が、その土地の価格であることを示しています。

そのすぐ下の、96,313,268円は、上記577,879,610円のうち実際に課税の基準となる価格であり、ちょうど1/6です。これはどういうことかというと、固定資産税の土地(住宅用地)における特例措置によるものです。
200㎡以下の住宅用地の場合、課税標準(課税の基準となる金額)は、固定資産課税台帳の登録価格の1/6になります(200㎡超は1/3)。

マンションの2,463㎡ではなく、僕の部屋の土地はもちろん200㎡もありませんから、これが適用される訳です。

そして右隣の692,674円が私の家の部屋の土地の評価額であり、全体の基準額である96,313,266円に私のマンションの場合の区分所有として、売買契約書で指定された1/139を掛け合わせた数字になっています。マンション全体の土地の1/139が僕の所有のものですと指定されているわけです。うちのマンションは133世帯なのでそんなものなのでしょう。

つまり、私の部屋の土地の固定資産税は、この基準価格692,674円×固定資産税の税率1.4%=その下の数字9,697円になります。

ちなみにマンション全体の2,463㎡分の139=約17,7㎡が僕所有の土地面積になります。

先ほど、僕の土地資産が692,674円だか1,385,348円はひくすぎるのでは?!と書きましたが、以上を踏まえると、それぞれ6倍、3倍を掛け合わせ、僕の土地資産額は4,156,044円になります。実際の資産評価よりは低く見積もられてはいるみたいですが、先ほどのマンションの区分土地所有では17,7㎡ということですからこんなものですね。

本来、一般的に、「〜㎡の部屋」と言われる我が家の所有面積は67,14㎡の部屋なのですが、マンションは1階を除いた世帯全員が地上高層階の空中に済む訳ですから、そのままの地上の土地面積が資産としてもらえないのは当たり前かと。一つ、初めての気づきでした。

次に「土地」の都市計画税です。

上記577,879,610円の2つ下の、192,626,536円が、土地の都市計画税の基準価格になるもので、577,879,610のちょうど1/3です。これはどういうことかというと、都市計画税の土地(住宅用地)における特例措置によるものです。

小規模住宅用地(住宅1戸あたり200㎡までの住宅用地)は、登録価格の1/3(200㎡超は2/3)。

そして1,385,348円が、全体の基準額である192,626,536円に先ほどの1/139を掛け合わせた数字になるわけです。

つまり、私の部屋の土地の都市計画税は、この基準価格1,385,348円×都市計画税の税率0.3%=4,155になりますが、東京都ではもう一つ減税措置があります。
小規模住宅用地(住宅用地のうち1戸の住宅につき200m2までの部分)に対して課する都市計画税(東京都23区内)については、税額の2分の1が平成29年度も引き続き軽減されます。
4,155円の1/2で、その下の数字2,078円になります。

建物の固定資産税・都市計画税の算定方法

f:id:murakoshi5:20170825001510j:plain

土地の次は「建物」です。固定資産税から。

ここは、6,632,100円が私のマンションの内の所有建物として評価されています。つまり、私の部屋分の建物の固定資産税は、この基準価格6,632,100円×固定資産税の税率0.3%=92,849円になるのですが、固定資産税は46,424円となっており、右隣に「減税税額」として、46,425円が記載されています。これはどういうことかというと、固定資産税の屋建物における特例措置によるものです。
新築住宅に関しては、5年もしくは3年間、居住部分に相当する固定資産税の税額が1/2減額。

次に「建物」の都市計画税です。
これは、6,632,100円×0.3%=19,896円になります。

以上、合計、
土地の固定資産税、692,600円×1.4%=9,697円
家屋の固定資産税、6,632,100円×1.4%×50%=46,424円
土地の都市計画税、1,385,300円×0.3%×50%=2,078円
家屋の都市計画税、6,632,100円×0.3%=19,896円

固定資産税、9,697円+46,424円=56,121円(100円未満切り捨てになるので56,000円)
都市計画税、2,078円+19,896円=21,974円(同上で21,900円)

ということで「通知書」の表紙の金額がようやく出ました。
固定資産税合計:56,000円
都市計画税合計:21,900円
合計税額:77,900円

もう一度見てみましょう。
土地の固定資産税、692,600円×1.4%=9,697円
家屋の固定資産税、6,632,100円×1.4%×1/2(5年間もしくは3年間)=46,424円
土地の都市計画税、1,385,300円×0.3%×1/2=2,078円
家屋の都市計画税、6,632,100円×0.3%=19,896円

上記赤の部分のみ、5年(3年)経過すると、50%減額措置がなくなるので、つまり、6年目(4年目)以降、46,424円が追加での負担額になります。

来年度からは、5年まで77,900円+追加分46,424円=124,400円(100円未満切り捨て)
固定資産税合計:102,500円
都市計画税合計:21,900円
合計税額:124,400円
になることが予想されます。痛手です・・・。

最後に、「固定資産税・都市計画税」の計算方法をまとめると、以下のようになります。

f:id:murakoshi5:20170825013346p:plain

マンションの部屋の課税標準方法とは

税金の計算方法はわかりました。それでも一番大事で一番不明確なのは、「自分の」資産の評価金額(課税標準という)です。

これは、購入した時の金額とか全然関係ないんですね。誰が何を評価して、先ほど算定した「課税標準」が出てくるのでしょうか。

「固定資産税課税台帳の登録価格」とあります。これはつまり、都税事務所の家屋評価担当職員が3年ごとに評価しているということになります。

土地の課税標準

まず土地ですが、東京都主税局のHPに算定の仕方が記載されています。公表されている「路線価」に他様々な要素を取り入れて算定されるようです。これは私のマンションの付近の路線価を調べて算定したところ、㎡当たりの土地評価額(課税標準)がほぼ同じ算定額になりました。先ほども書きましたが、上記課税標準は3年ごとに調査され更新されます。

建物の課税標準

次に建物ですが、「マンションは建築した施工業者又は販売業者から各種建築書類を借用して評価を行う」と、こちらも東京都主税局のホームページに記載されています。次に3年ごとに、資材費とうの相場を盛り込むために再建築価格(再度同じ資材等で建築された際にその時点でかかる費用)と、建物が劣化する減価償却費を掛け合わせた金額が課税標準になるようです。

最後に、今回の記事を書くにあたり、1番わかりやすくて参考になったのは、東京都主税局のホームページです(http://www.tax.metro.tokyo.jp/)。適当にキーワード検索でググる前にまずはここを訪れてみましょう!

長くなってしまいましたが以上になります。税金のことは我々国民の義務として大事な事なので、一度しっかり紐解いて調べておきたいものですね。

Twitterでフォローしよう