リビングダイニング(以下LD)は、1日の生活時間の中で、ご飯を食べたり、趣味の時間や家族での団欒を楽しんだり、住まいの中でも中心的な空間です。前回(リビング編①)、快適なLD空間を押える上で超基本的なことを共有しました(関連記事)。
今回は、快適なLD空間を選ぶために、少し踏み込んだ見方を。
家具の配置のための空間形状
1つ目は柱(マンションを支える支柱)の問題です。限られた空間の中で生活スペースを最大限便利に使用する上で大事なポイント。柱が室内に浸食すると不整形な空間になる事でデッドスペースが生まれ、家具の配置や使い勝手が悪くなります。LDでは、1〜2mなど長い尺の家具を置くこともあり、室内の形状については注意が必要です。
例えば以下のケース。バルコニー側にある柱がLD室内に浸食しています。
家具を配置するとどうなるでしょうか。
柱の横の赤い部分が家具などが置けないデッドスペースとなり、空間を有効活用できないばかりか、デッドスペース部分を遮断して家具が配置されることで窮屈感を感じる生活空間になってしまいます。
下図のように、柱によるデッドスペースがないLDの場合。
ソファからダイニングテーブルにかけた空間をしっかり確保でき、その空間で子供と遊べるかもしれません。何か大きな作業ができるかもしれません。何より家具に囲まれる範囲が広がったことで、窮屈感を感じなくなります。 以上、余計な柱が室内に浸食して効果的な家具の配置の妨げになっていないか、部屋の間取り図を見る際には注意が必要です。室内高、頭上の開放感
2つめは、室内高の問題。 頭上が高いと開放感があります。分譲マンションの天井高は、2,400mm~2,500mmが一般的ですが、タワーマンションや1階住戸などで2,600mmなど高い仕様が見られる他、床を二重にしない直床(じかゆか)仕様にすることで天井高を確保する仕様も見られます。
また、室内面積が狭い中で、梁が天井から出ていると頭上の圧迫感を感じることもあるでしょう。
柔軟なLD空間仕様になっているか
次に大事なポイント。LDと隣の部屋の隣接部分が、可動式間仕切りになっているかどうかです。可動式間仕切りとは、下画像のように、リビングと隣の部屋を一体化させたり仕切ったり空間の広さを柔軟に変えられる可動式の扉(引き戸やウォールドア)のことです。
隣の部屋を一つの部屋として機能させたいときは、扉を閉めることでLDと隔離することができます。
これが、ただのドアだと独立した部屋になり、LDと一体化することができません。
LDが広くなれば価格も上がってしまいます。デベロッパーは最低限の機能性確保のため、通常ファミリータイプだと、70㎡規模の住戸で、10~12畳前後のLDを供給してきます。でも、本当はもっと広々した空間でくつろぎたいですよね。そこで、LD隣の部屋を使用しない時は、可動式の扉を開けて空間を広げることが有効になります。マンションを購入する際は、将来の家族設計を見据えて、2LDK や3LDKのタイプの部屋を購入することが多いかと思いますが、購入してしばらくは、家族が少ない状態が考えられるため、部屋をLDと一体化させることによって広々とした空間にできる仕様が望ましいです。
LD隣の部屋が、和室か洋室かによっても、LDと一体化する際に利便性が異なります(2020年現在、和室の設定はほぼ絶滅しました)。
洋室の場合のメリットは、リビングとの一体感を持って大きめの家具を配置できること、また将来的に子供が増えて独立した居室が必要になった際、洋室だと柔軟に部屋として使用できることです。
和室のメリットもたくさんあります。
子連れの友人や高齢の両親が遊びに来た時に、くつろいでもらえます。また自分たち家族も、リビングと続いた空間においてゆったり過ごすことができます。
デメリットですが、洋室とは逆に、家族が増えて独立した居室が必要になった際に、機能性が乏しい事です。育ち盛りの男の子の部屋を和室にあてがうのは躊躇しますよね。
隣の部屋と隣接した部分が可動式間仕切りでなく、独立型の部屋の場合は、隣の部屋は家族が増えるまで、使用しない無駄な空間にとどまってしまいます。何より、LDと隣の部屋を一体化した大空間でゆったり過ごすことは、限られた空間の中で本当に快適なので、可動式扉であることは外したくないですね。
更に細かいことですが、できるだけLDと一体化した開放空間を作りだして、またがって家具を配置したりできるように、間仕切りを支える両端部分が空間に出っ張らないようなタイプを選ぶことが、より望ましいです。