2020年4月~2021年3月における築浅中古マンション相場・動向についてまとめました
(※江東区湾岸エリアは除く)。

前提、対象住戸は以下です。

・20年4月~21年3月で売出、成約を確認
・5区は墨田、江東、葛飾、足立、江戸川
※江東区湾岸エリアは除く
・駅徒歩10分、築10年以内、60㎡以上
・「SUUMO」「ホームズ」にて検索
・「売出数」は期間中売出しの総住戸数
・「成約数」はレインズMarket Informationで確認
・「前年」は19年10月〜20年3月のみ
・複数駅が10分以内の物件は近い駅を最寄
・「売却月数」は成約までの月数(※)
・1坪=3.3㎡として価格を算定

※期間中の住戸平均在庫の金額÷(期間中に成約された住戸総金額÷12)


例えば、「7.5」は、売出しから成約まで平均7.5ヶ月かかっていると理解できます。

以下注意点
・サンプル数が少ないほど精度を欠く
・平均であり個別物件によって実態が全く異なる
・全ての成約がレインズに登録されていないため、実際の成約までの月数はもっと短いケースが多い
・20年上期は緊急自粛宣言で市場が一時滞ったため売却まで時間を要している

「売却月数」は、あくまでエリアの特性や他エリアとの比較の目安としています。

京葉線沿線の築浅中古マンション

越中島は、「プラウドシティ越中島」の中古が多く出回るようになりました。新築時はモデルルーム初「マイクロソフト ホロレンズ」が体験できるなど人気がありましたが、中古市場では、周辺「豊洲」「月島」「勝どき」など湾岸人気エリアに挟まれ、価格を下げるなど成約までの時間が明らかにかかっています。

潮見は、昨年駅前に「東京ベイ潮見プリンスホテル」が開業し、湾岸隣接エリアということもあり注目されていましたが、オリンピックによる集客が道半ばになってしまったのが残念です。

東西線沿線の築浅中古マンション

軒並み、沿線の相場は上昇しています。

「門前仲町」「木場」「東陽町」については、人気の湾岸エリア、豊洲や有明のように高値での売出しが決まらず、長い間、売り出されている住戸が目立ちます。木場は特に「プラウドタワー木場公園」が周辺相場より高値で成約され、相場を引き上げました。

上記立地の中古が7,000万円台まで高騰してきた中、南砂町から東も徐々に動きが出てきました。南砂町は、築浅では大手や大規模など有力物件が少ないので、『現状では』低めの相場観です。あれだけ在庫が嵩んでいた「西葛西」でしたが、魅力ある大規模人気物件が5500万円中盤の価格帯なので相対的に手が出しやすくなったせいか、10月以降は多くの成約が確認されました。

都営新宿線沿線の築浅中古マンション

比較的求めやすかった新宿線沿線だけに、相場が上がっています。

特に「住吉」は、東京イーストエリアの中で大きく飛躍した街の1つです。「メイツ深川住吉」など竣工後まもない物件だけでなく、幅広い物件でチャレンジ価格での成約が目立ち、相場を大きく引き上げました。一方で高値での売出しが多くなり、長い間捌けない状況も見られるようになりました。

「亀戸」「西大島」周辺で売出しが少ない中、「大島」は、売出される度に成約まで早い物件が多かったです。下半期は更に売出しが少なくなったので、界隈の相場観はもう少し高いはずです。

駅10分以内の物件数が多い「船堀」も、「西葛西」と同様に以前は在庫が嵩んでいましたが、「ザ・パークハウス船堀」など駅周辺の大規模物件から準大手の小規模まで幅広く、売出しから早い成約が見られました。急行停車駅で生活利便性も高い船堀は、江戸川区役所移転の話が細部までリリースされ始めたので、物件数の多さに街の人気が伴ってきた格好です。

瑞江、篠崎についても、大手の進出など、マンション売出しへのアンテナが高くなっていると感じます。

JR総武線沿線の築浅中古マンション

「両国」「錦糸町」は引き続き堅調ですが、駅前の再開発が進む江戸川区沿線も人気が高まってきました。

特に特筆すべきは「新小岩」で、出る物件が早期に成約され、少しずつ相場を上げてきました。東京までアクセスが良いポジションにいながら、今まで低かった相場が評価された顕れでしょう。大規模再開発中の小岩と共に、東京西エリアに匹敵するような人気の街に変貌できるでしょうか。

※両国は、JRと都営大江戸線の駅と若干立地が異なりますが、都営大江戸線の両国最寄りで、JR両国からは徒歩10分以上の「イニシア両国」も加えてあります。

半蔵門線沿線の築浅中古マンション

人気の街として確固たる地位を築いた「押上」を含め、全ての駅が坪単価300万円を超える人気沿線になりました。

清澄白河の売却月数「1.4」は驚異的です。人気物件「パークハウス清澄白河タワー」が築10年を過ぎて対象を外れてもこの数字ですから、湾岸エリアと共に、江東5区エリアにおいて、広域からも評価される最も人気がある街と評価できるでしょう。

都営浅草線沿線の築浅中古マンション

商業施設「東京ミズマチ」が開業し周辺が街として一体化された「浅草」「本所吾妻橋」、スカイツリータウンにかけて、機運が高まっています。本所吾妻橋は、浅草、押上、スカイツイータウン一帯を指しますので、今後は、坪単価300万円を大きく超えてきそうです。

都営大江戸線沿線の築浅中古マンション

それぞれ、JR総武線、東西線、新宿線、半蔵門銭線、浅草線、各同駅の相場を示してあります。

東武線各沿線の築浅中古マンション

スカイツリータウンエリア、「北千住」の人気にリードされ、沿線全体で相場が上がってきました。

「曳舟」については、数字上は上昇基調が落ち着いた感がありますが、10月以降売出しが少なかったため、今後は平均でも坪単価300万を超えると考えています。スカイツリータウン一体と合わせ、引き続き、新築時からのリセールが高いマンションが点在するエリアとなります。

沿線・足立区で人気エリアの「北千住」は、現状では準大手の小規模物件が多いのですが、売出し住戸の回転が早く早期に買い手が付きました。大手の分譲が増えていますので、今後も築浅市場は大きく相場を上げていくでしょう。

都心部から乗り入れ路線の便が多い急行停車駅の「西新井」は、生活利便性も高く、築浅だけでなく駅周辺マンションの人気が上がっています。

支線で一歩入った「小村井」は、都心部から近距離でありながらこの相場観。東京スカイツリー、ソラマチにも近く生活も楽しいエリアながら求めやすさから人気があり、今まで3,000万円台だった相場から上昇中です。

JR常磐線沿線の築浅中古マンション

常磐線沿線の相場は大きく上昇しました。

中でも「亀有」は人気の街として、「金町」は再開発が続く期待の街として、今後も上昇を予想しています。

「北綾瀬」は、駅周辺が整備され、各マンションへの徒歩動線も便利になりました。新築が徐々に駅近のポジションを取れなくなる一方、駅近には良質な築浅マンションも多く、戸建てでなくマンションを選ぶ動機も高まってきています。

京成線各沿線の築浅中古マンション

常磐線、東武線が順調に相場を上げている中、引き続き取引が低調な路線です。

その中で「千住大橋」は、イーストエリアで西葛西の次に売出しが多く動きが活発化しています。再開発エリア「ポンテグランデTOKYO」のE街区に発表されたタワーマンション建設の影響もあると思いますが、他の街区もこれから再開発を控えているので、発展が期待される街です。

今後楽しみな「京成立石」と「青砥」。立石の大規模再開発では、大手のタワーマンションが数棟分譲予定なので、分譲済みマンションの相場の低さにも日が当たるのではないでしょうか。

前年は動きが少なかった隣の「青砥」も、一部かさばっているマンションの在庫を除けば、駅近の築浅中古の動きは良く、このエリアとしては高いグロス5,000万円、坪単価250万円前後の取引も見られました。もともと交通の要所として駅力は高いはずですから、古くなりつつある街並の刷新に着手して欲しいですね。

つくばエクスプレス線沿線の築浅中古マンション

準大手中心の売出しで、築浅に限っては取引が少なめでした。まだまだ戸建て中心のエリアになりますが、準都心エリアとして、都心部に出るには便利な立地なので、「舎人ライナー沿線」とともに、今後の開発や大手の進出が待たれます。

北総線沿線の築浅中古マンション

「シティハウス新柴又ステーションコート」「ライオンズ北小岩レジデンス」の2物件が、安定して成約に至っていました。小岩エリア一体のマンション需要高まりを予感させます。

日暮里・舎人ライナー沿線の築浅中古マンション

沿線、新築時からのリセールは高くなりましたが、前年と比べて、マンション高騰の煽りの影響は見られませんでした。

都心に一番近い「足立小台」、再開発が進み生活利便施設が揃う「江北」、終点の「見沼代親水公園」を中心に取引が見られました。朝の通勤ラッシュが気になりまりますが、新築分譲の「クレアホームズ王子神谷TOKYO」「パレステージ江北Ⅲ」の売れゆきの早さから、このエリアにおけるマンションへの期待感は高まっています。都心部の過熱感が続けば、沿線の中古人気も高まり、相場を押し上げていくのではないでしょうか。

江東5区、湾岸エリアを除く沿線別での動向は以上になります。

江東5区、今、買い時、売り時のエリア

今後、相場が上昇しそうな街の中で、「今、売り時、買い時のエリア」は?

売手にとっては「チャレンジ価格でも売り切れそう」

言い換えれば、

買い手に取っては「相場なりで売り出されれば買い」

と見るエリア。

南砂町、亀戸、西大島、大島、船堀、平井、新小岩、小岩、曳舟、北千住、亀有、金町

住吉は上がりきってしまいましたし、立石は現状大手の有力物件が少ない中、時期尚早かなと思います(個人的な見解なのでご参考までに)。

ただし、物件の条件によりますので、売主にとって無謀な値付け、買い手に取って高づかみは注意したいです。階数、住環境などもしっかり吟味しましょう。

以上です(関連記事)。

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