リビング・ダイニング(以下LD)は、マンション住戸の中において、たくさんの時間を過ごす一番重要な場所です。

『モデルルームで12畳のLDを見学して十分な広さだと思ったのに、実際に購入した部屋は、あきらかに狭く感じた!』

何故でしょうか?

そうならないために、モデルルームで確認しておくべき主な視点を挙げてみました。

モデルルームで確認した広さが、実際に選んだ部屋では狭く感じる理由

およそ、マンションを選ぶ上で、LD空間は12畳前後(10畳~13畳くらい)が一般的だと思います。マンションを初めて購入する人が失敗しがちなこと。それは、部屋の広さを畳数だけで判断してしまうことです。特にLDの広さを判断する上では、畳数以外に、以下のような視点も踏まえて選んで欲しいと思います。

LDのスパン(幅)

同じ畳数でも、LDのスパン(幅)で印象は違ってきます。

例えば、モデルルームで見たタイプ。

開口部(窓面)に向かってワイドスパンです。モデルルームでは実際の採光、日当たりまで体感できないものの、当然、壁よりは窓の方が開放感を感じます。

実際に選んだ部屋。

開口部が狭く窓面に向かって縦長のLDです。実際の広さ、畳数は同規模だとしても、開口部に向かってスパンが狭いため、モデルルームのタイプの方が広々とした印象を受けたかもしれません。

デッドスペースの大小

同じ畳数(広さ)でも、デッドスペースの大小によって、家具を置いた際の生活スペースが全く異なる場合があります。

柱形

モデルルームで見たタイプは、柱がLD外に出ているタイプでした。

実際に購入したタイプの部屋。

同じく12畳表記ですが、柱のLDへの浸食部分も畳数にカウントされているので、実際に人が生活する空間は12畳ありません。

柱の部分くらい大した違いは無いように思われますが、家具を置くと違いがわかります。以下はアウトポール設計のLD。

柱の浸食がある場合。

柱の出っ張り部分に家具を置けないため、整形の空間に絞って家具を配置すると生活スペースが凝縮されてしまうのです。

廊下部分

モデルルームで見たタイプの10畳。

LDのドア入った所から完全に整形の空間で、10畳全てを有効空間に充てられます。

一方、実際に購入した部屋。

ほぼ同じ10.5畳表記ですが、以下、LDドアより内部の廊下部分まで乗数に含まれるため、実際に家具を置ける生活有効スペースは、その廊下部分のデッドスペースである約2畳を除いた8.5畳ほどになってしまいます。

実際に購入してみて、イメージしていた畳数より狭いと感じる良くあるパターンと言えます。

極端な例を挙げると、同じ専有面積にも関わらず、柱や廊下部分のデッドスペースの大小によって、以下の図のような違いが生じるケースも。

家具を配置すると狭さを実感するでしょう。『こんなはずじゃなかった!』と。

左の「LD空間A」はデッドスペースが多すぎて、家具を満足に置けません。右の「LD空間B」の10畳をイメージして、「A」の10畳を購入してしまったら、目も当てられません・・・。

隣接した部屋との拡張性の有無

モデルルームで見た13畳。

「LDは13畳」と説明は受けていたものの、モデルルームで見たときは隣の洋室(3)の4.5畳も一体化されていて、空間が広く感じたかもしれません。

実際に購入した13畳。

LDが独立していて、隣の洋室と一体化できる拡張性がないため、一層の窮屈感を感じることになります。

梁と下り天井の大小

実際に生活するスペースに影響するものではありませんが、下り天井や梁の室内への浸食は、頭上の圧迫感や開放感の妨げに繋がります。

間取り図で見てみます。モデルルームで見た部屋。

下り天井部分は、カセット式エアコンが埋め込まれている部分だけです。もしこの部屋をモデルルームで見ていて、ほぼ同じ畳数で他タイプの部屋を購入した場合。

間取り図を見ると、LD右側に下り天井が大きく横切っていることがわかります。モデルルームと違って、圧迫感を感じるでしょう。

最後に

以上になります。

LDは1日の中で、家族全員がたくさんの時間を過ごす大切な空間です。モデルルームで「これくらいの広さなら」と判断した上で、他のタイプの部屋を選ぶ場合は、上記のような視点を踏まえて欲しいと思います。

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