2017年当時のモデルルーム訪問を思い出しながらレビューを書いてみました(2019年1月現在)。※2020年6月1日に、記事内容を大幅に修正しました。
この記事の目次
パークハウス東陽町翠賓閣 マンション概要
モデルルームで想像していたものより断然素晴らしい佇まいになりましたね!
物件概要
ザ・パークハウス東陽町翠賓閣
東京都江東区東陽7丁目
東京メトロ東西線「東陽町」駅徒歩8分
総戸数:11階117戸
用途地域:準工業地域
駐車場:26台
駐輪場:227台
バイク置き場:3台
ミニバイク置き場:9台
売主:三菱地所レジデンス、三菱倉庫
販売提携:三菱地所レジデンス
施工:木内建設
管理委託会社:三菱地所コミュニティ
施工年月:2019年3月
以下、モデルルーム訪問時、売り出されていた主な住戸です。
<南向き>
1階、57.51㎡、5,690万円(@327万円)
3階、64.53㎡、6,290万円(@322万円)
1階、71.10㎡、6,630万円(@308万円)
6階、71.02㎡、7,170万円(@333万円)
<東向き>
2階、75.91㎡、7,100万円(@309万円)
1階、74.07㎡、6,850万円(@305万円)
2階、76.63㎡、7,180万円(@309万円)
<西向き>
3階、67.00㎡、5,870万円(@289万円)
4階、67.00㎡、6,540万円(@322万円)
(1坪=3.3025㎡で試算)
ランドスケープ・共用施設
ランドスケープ
「庭屋一如 迎賓建築のあるべき場所」と謳い、高級感を売りにしているマンションです。屋上緑化など隣接した緑地と一体化した植栽計画に力を入れ、周辺同規模のマンションとは一線を画す存在感。
外観がとにかくカッコいいです!
これだけのデザイン性のマンションが東京イーストエリアにあったでしょうか。将来エリアのヴィンテージマンションとして十分評価されるでしょう。三菱地所の「ザ・パークハウス」ブランドの広告に使用されているところを考えても、その力の入れようが窺えます。なんといっても、このマンションのことをツイートしたときの「いいね!」とリツイート数、フォロワー数の増加数が見事にこのマンションへの評価を物語っています。
3棟の住居棟
このマンションは、3棟構成です。東向き棟、南向き棟、西向き棟、それぞれが違った装いのデザインで、見る人を魅了します。
東向き
木々が低い緑地隣接で70mほど抜けた明るい環境。このマンションの売りでもある「横十間川親水公園」に面しています。
南側
公園を挟んで、一部高い建物が被っていますが、低層階から日当たりは悪くないです。
西側
すぐ目の前に9階建てのビルが建ち、北側も詰まった環境、日陰の暗い環境となっています。
共用施設
テラスラウンジ、エントランスホール、ギャラリーは、エントランスから住居へ向けた共用廊下とは離れ、落ち着いて過ごせるサードプレイスになります。24時間対応ゴミ置き場、宅配ボックス、ペット足洗い場など基本的な機能はありますが、平面図と何度にらめっこしても、共用トイレが確認できませんでした。管理人さんも?マンション前の公衆トイレを使用しなさいということでしょうか?
来客用の駐輪場が2台置けるのが良いですね。意外と役立つのです。ただ、このマンションの造りからすると、駐車場台数が少ないことに疑問です。都心に近いマンションなので台数を少なくするのは理解するのですが、117戸に対して26台(22%)と特に少ないと感じます。エリアの相場を押し上げるこだわりの上質マンションを買うような人は、こだわりの車も持っていませんか?同時期に分譲していた「シティテラス東陽町」は40%近くでした。
ランニングコスト
月々の管理費は、SFタイプ71.02㎡住戸で17,830円です。別途、インターネット使用料1,458円、共視聴設備利用料324円、修繕積立金8,530円と合わせ、初年度の月々ランニングコストは28,142円になります。管理費は、首都圏70㎡平均より若干高めですが、充実した植栽計画など、これだけのヴィンテージ性を発揮するマンションで、この規模でディスポーザーもついていて、この管理費は、むしろ安いと思いました。
住戸設備・仕様
主な設備・仕様です。一般住戸(プレミアム住戸を除く)においては、キッチン天板が天然石では無いこと、玄関インターフォンがカメラ付きで無いことなど、もう少し頑張って欲しかった所はありますが、この規模でディスポーザーが付いていたり、全戸トランクルームを確保していたり、一般のマンションでは今時考えられない洗面室の床がタイル貼りなど、さすがに充実した物となっています。
トランクルーム
玄関床天然石
可動式ルーバー面格子
ディスポーザー
食洗機
ミストサウナ
ローシルエットトイレ
トイレ手洗いカウンター
洗面室床タイル
玄関・窓防犯センサー(FIX窓除く)
天井高は、階数やタイプによって、2400mmから2750mmと幅がありますが、1階住戸は2750mmで開放感がありますね!
もう一つ、住戸の特徴である、ガーデンビューウィンドウですが、確かに良い!とは思うのですが、いかんせん周辺環境が微妙です。4.5階以上なら快適ですが、低層階の住戸位置によっては、面している公園、緑地の歩道から住戸内が丸見えなので、結局ほとんど、レースのカーテンをしてしまうかなと。
住空間・間取り
明るさ(リビング、廊下側、将来性)
東向き、南向きは十分な明るさを確保できると思いますが、西向きは敷地すぐに会社などが立ち並んでいる状況で日陰になっており暗めの環境、その分安い価格設定になっています。共用廊下側の部屋については、東、西、南向きそれぞれの棟が隣り合わせで、ほとんどの部屋が暗い環境になります。西側住戸を詰めこまなければと個人的には思いました。
広さ(LD、主寝室)
私が、このマンションのデメリットだと思っている点は、間取りです。
プレミアム住戸は素晴らしい間取り、広さですが、それ以外の60~80㎡規模の間取りについては、主に東向き住戸のLDのコンサバトリーと名乗っているいびつな空間形状が気になります。
上質マンションをアピールしておきながら、廊下部分のデッドスペース、柱が浸食して間口が狭いコンサバトリー空間含んでの15~17畳のLD専有面積では、立派な家具ブランドスケールを配置しづらいです。基本的な家具を置ける空間は、10畳を切ってしまいそうです(関連記事)。
豪華なマンションに、程小さい寸法の家具の中流家具ブランドを選ぶのでしょうか。
一方、主寝室側は、ほとんどの住戸において柱型を室外に出す親切設計が見られ、整形な6畳以上の主寝室として実質的に最低限の広さを確保できています。
西向き住戸の主な間取り
(WCタイプ、67㎡)
狭い空間を無理くりすぎて、自分が持っている家具をどうやったら置けるか、考え込んでしまいました。子供部屋の形状や収納含めて、妻からNG!
南向きの主な間取り
(SGタイプ、71.02㎡)
このマンションにおいて、普通のマンションよりも普通すぎる「田の字型」・・・。71㎡あるにもかかわらず、とにかく家具が置けないLDの狭さ。バルコニーの狭さ。
東向きの主な間取り
(EAタイプ、74.07㎡)
先ほど書いたとおりなのですが、「ガーデンビューウィンドウ」を採用し、一見華やかそうな間取りです。LD15.4畳は、私が考えているノーマルな家具を置くスペースとしては実質9畳ですね。現在手狭な70㎡住戸に住んでいて配置している我が家の家具は到底置けません。
プライバシー性
詰め込み感満載なので、共用廊下は賑やかそうですが、住戸の柱型をしっかり廊下側に出すことで住戸ごとにアルコープ部分を確保しています。また西向き住戸は、共用廊下から住戸への動線を1戸、2戸限定にしてプライバシー性を高めています。共用廊下側の窓の可動式ルーバー面格子もしっかり採用されています。東、南向き住戸とも、低層階では隣接した公園からの視線が気になるのは、さほど静かな公園ではないからです。
周辺環境・生活・交通
周辺環境
喧噪(大通り、車、人の多さ)
本来は、公園隣接で窓を開けて自然や空気を楽しみたいところですが、商店街を抜けた地点で生活動線の中にある公園なので人の往来が結構あり、閑静な公園、住宅街とまでは言えません。また、マンション南側の一部、公園の公共トイレがある付近、人がたまりやすいスポットが気になっているポイントです。
自然(公園、緑道、河川)
周辺は、隣接した横十間川親水公園に加え、仙台堀川公園など都心ながらにして緑豊かな環境は、江東区深川エリアの特徴でもあります。
安全性(交通量、大通り、抜け道)
物件北側の葛西橋通り、西側の四ツ目通りから東陽町の駅付近にかけて車が少し抜けてくる場所になります。
治安(夜間環境、歓楽街)
東陽町駅北側は、区役所中心に安心して暮らせるエリア。駅から物件までは商店街を通る一本道で夜間も安心です。
災害(ハザードマップ、海抜)
江東区の中でも東陽町は埋め立て地ではありません。古くから商業の地として栄え地盤はしっかりしていると聞きますが、過去に液状化の実態はありませんでした。大雨洪水マップでは、荒川が氾濫した際、3m未満(2階床部分まで)浸水リスクがあるとされています。ただ、このマンションの1階部分は、若干高く盛り土がされているため、1階住戸でも比較的安心だと思います。
将来性(用途地域、再開発)
「公園隣接」を重視した東向きの抜けた環境ですが、公園が無くなることは半永久的に無いので安心です。ただし、公園を挟んだ先にある駐車場が将来的に高い建物に代われば、眺望と午前中の日当たりが制限されてしまう可能性があります。南向き、西向きは、既述の通り、既に環境は固まっているので、今後、環境変化の可能性は低いでしょう。
子育て・生活環境
そもそもこのマンションは子育て世代を意識していません。新しい中規模レベルのマンションにしてはキッズルームがありませんし、世帯数も100戸ちょっと。1ルームや2LDKの間取りもあり、マンション内でママ友コミュニティを形成しやすいとは言えません。
隣接している横十間川親水公園は子供を遊ばせるような遊具がある公園はありませんが、近くを東西に伸びている仙台堀川親水公園は、子供と散策するには適している環境です。ただし、児童館、図書館などの教育施設、また、近所に小さい子供がいるときに重宝するような大型ショッピングセンターも徒歩10分以内にはありません。
周辺穏やかな環境ですが、駅や商店街までの動線が大通りに抜けてくるポイントなので、車通りがそこそこあります。また歩道も狭く人通りが多いため、自転車などの往来にも注意を払います。
学区の東陽小学校まで850m、深川第四中学校まで約1kmあり、子供の足では小中ともに遠いですね。保育園、幼稚園は、確認できる範囲で合わせて8か所ほどありました。
一般的な生活には、とても恵まれた環境です。
東陽町駅北側は、江東区役所を始め、多くの生活利便施設が林立した商業集積エリアになります。
5分以内に、大型スーパーが2店舗、コンビニが4店舗もあります。駅からの帰り道に西友、コンビニ、ドラッグストアもあり、帰宅時にわざわざ遠回りせず買い物できるのも便利です。
複合施設「イースト21」が徒歩4分のところにあり、スーパーのサミット、複数の飲食店や小売店、ホテルが入居しています。
交通利便性
国土交通省がデータとして出している「主要区間の混雑率」首都圏ワースト1位!…
通勤地獄の東西線、東陽町駅が最寄ですが、やはり元ユーザーとしては、ほとんどの路線に横串され、乗り換えがスムーズにできる東西線の便利さは偉大です!大きな機動力を発揮してくれる都心隣接の便利な環境です。ただ、一般の人は、駅徒歩8分を「駅から遠い」と判断してしまうのですね・・・。
東陽町界隈は、バスの便が東西南北、東京駅方面、豊洲方面、錦糸町方面と張り巡らされています。
車の保有率が低い都心エリアですが、近隣に16台も所有するタイムズのカーシェア駐車場があるので、これだけの台数があれば借りられないことはまず無いでしょう。マンションの駐車場台数が少ない事からも、ありがたい存在です。
リセールバリュー・将来性
同区内の有明や豊洲といった湾岸エリアの将来性や話題性に後塵を拝しているものの、東陽町は区役所がある江東区の中心地です。また、大手会社の事業所も多く、マンションも増えてきており、1日の乗降客数が10万人を超えています。加えて、有楽町線の延伸が実現すれば、東西線との乗換駅になることが予想されている事から、将来的に著しくマイナスになるエリアでは無いでしょう。
東陽町はマンションが非常に多い街です。「翠賓閣」よりも駅に近い有力なマンションを挙げただけでも常に相当数の売出しがあります。ただし、立地だけで評価されない、このマンションへの指名が期待できるはずです。東陽町駅徒歩何分の物件はたくさんありますが、「ザ・パークハウス東陽町翠賓閣」は117戸しかありません。三菱地所の「パークハウス」ブランドを更に引き立たせる、近隣マンションとは一線を画すヴィンテージ狙いのマンションであり、東陽町北側のランドマーク的存在になる価値が十分にあります。
<10年後の予想>
7,100万円(@309万円)2階、75.91㎡
↓ ↓
6,069万円(@264万円)
10年後の予想は、あくまでも近隣売出し物件、上記資産性の根拠等を踏まえた個人的な予想です。
本体価格を変動金利(0.5%と仮定)で借りて、10年後の残債5,529万円。
フルローンで借りたとしても、10年後の相場が残債を割ることは無さそうかなと思いました。
最後に
親水公園と一体となったランドスケープデザインは、際立った存在感を醸し出していました。
ただ、高級感、重厚感、上質な住まいを売りにしているのにも関わらず、駐車場台数が近隣マンションより少なかったり、せっかく75㎡や80㎡ある間取りでも、高級ブランドのスケールが大きい家具が置きづらそうなLD空間だったり、借景、緑景というモチーフを使いながらも、南向きが歩行者の視線や労働者のたむろによる喧騒、共用トイレが視界に入ってしまうような公園と、ちょっとしたチグハグ感も否めません。
そんな少しばかりの違和感を吹き飛ばす、人を惹きつけるヴィンテージ性があるのも事実。
いずれにしても、コストカット著しいマンション厳冬時代において、コンセプトを明確にした上質さ際立つ素敵なマンションです。東陽町の街の発展、マンションの周辺整備などと相まって「語り継がれるマンション」になってほしいと思います。
(以下、2019年9月19日追記)
竣工してから半年以上が経ちますが、まだ棟内モデルルームで販売中です。中々の坪単価で売り出していますが、東陽町が三菱のヴィンテージ性には役不足なのか 三菱が東陽町の良さを活かしきれずに力不足なのか 。以下、残り住戸の一部です。
東向き
EB、2階、75.91㎡、7,160万円(@311万円)
ED、1階、76.83㎡、7,372万円(@317万円)
南東角
SL、1階、82.89㎡、8,367万円(@333万円)
SL、3階、82.89㎡、8,873万円(@353万円)
6,000万円台後半の住戸はようやく売れたでしょうか。3LDKの専有面積が広めなので、グロスで7,000を越えてしまうのが痛いですね。正直、高いとは感じるのですが、東陽町は今後、条件が良い新築は出てこないでしょうし、西葛西より安くなることは考えられないので、値引きせずに長期戦で販売していくのでしょう。なにより、この語り継がれる「ザ・パークハウス」ブランドに自信を持って提供しているのだと思います。
(以下、2020年6月1日追記)
2020年になり、竣工後約1年を経て完売しました。当初は「高いのでは」と思われた価格でしたが、コロナショック前、相場が上がりきっていた時でしたから、竣工後の実物で、このマンションの上質さを一目見てしまえば、少々高くても、余裕がある層の触手が動いたと思います。今後、中古市場で売り出された時に、どれほどのリセールを維持していくか楽しみなマンションです(※記事の内容については、2020年6月1日大幅に修正しました)。