東京23区、イースト東5区における中古マンションの動向(2019年6月~8月期)を踏まえた上で、都内イーストの街ランキングをまとめてみました(※江東湾岸エリアは除きます)。

東京都23区東地区の中古マンション動向を見るに当たって

各沿線の動向と、3つのランキングを出しました。

1,マンション23区東、選びやすい街ランキング
2,マンション23区東、人気の街ランキング
3,マンション23区東、安い街ランキング

日々、検索サイト「SUUMO」で沿線の売り出しデータをチェックし、エクセルで集計しているのですが、以下に前提を示すとおり、あくまでも目安として暖かい目で見ていただければと思います。

ランキングを行う上での前提
・検索サイト「SUUMO」にて検索し独自集計
・対象は、築10年以内、駅徒歩10分以内、60㎡以上の住戸
・都内23区の東5区(墨田、江東、葛飾、足立、江戸川)の各沿線
※江東区の湾岸エリア(りんかい線、有楽町線、ゆりかもめ)は調査の対象から除外しました。
※他、足立区の舎人ライナー沿線など、データが不十分な路線も一部除外しました。
・「売出数」は、2019年6月1日時点で売り出されていた住戸と、2019年6月~8月の期間内に売り出された住戸の合計数です。
・「決定率」は、上記売り出し住戸のSUUMO掲載終了率(売約されたとして見なしますが、あくまでSUUMOへの掲載が終了した物件であり、売約されたとは限りません)
・「売却日数」は、売り出されてから、売約されるまでに要した平均の日数
{8/31時点での住戸在庫の総金額÷(期間中6-8月に売れた総金額÷91.25)}

91.25は年間365日の1/4(3ヶ月間の集計のため)。例えば、算定の結果「80」とすると、80日間、つまり、売り出してから成約されるまで平均で3ヶ月弱かかっていると理解できます。サンプル数が少ないほど精度を欠くのと、平均のため物件によってバラツキが激しいので、あくまでエリアの特性を見る上で目安としています。

・1坪=3.305㎡、70㎡=21.18坪として価格を算定
・価格はあくまで掲載中の最終売り出し価格で成約に至った価格ではありません。

東京23区東地区、沿線別中古マンション動向

まず、各沿線全体の指標について。

先ほどの通り沿線全般を見ると、売り出してから決まるまでの売却日数、価格共に、半蔵門線の人気が際立ちます。一方で、そもそもマンションより戸建需要が多そうな、京成線、東武線沿線は、中小デベロッパーによる分譲マンションが多く、低い価格帯でも中々売れていないのが現状と言えます。

JR京葉線の中古マンション相場

京葉線は、対象物件が少なく、新木場にはそもそも対象のマンションがありません。売り出される物件のほとんどが、潮見の「クレストスカイウィング」「ザ・サウスキャナルレジデンス」という2つのマンションです。それぞれ100戸前後の中規模ですが、安定して売りに出されるのは周辺人気エリアへの買い替え需要でしょうか。東京駅から3駅7分という利便性にもかかわらず、界隈の湾岸エリアに比べると開発が遅れ、求めやすい相場であると言えます。


2020年に向けてホテルの建設が進む潮見駅前

越中島は、築浅の駅近物件が「クレヴィア越中島」「レジデンシャル門前仲町」しかありませんが、今年は300戸以上の大規模「プラウドシティ越中島」が竣工しましたので、今後、人気物件として中古相場を注目したいと思います。

いずれにしても、京葉線は、都心部隣接という便利な沿線でありながら、この相場観。潮見や新木場周辺は競技施設も多く、2020年オリンピックで賑わうはずなので、今後、周辺人気湾岸エリアとともに住みやすい穴場の沿線として再開発を期待したいところです。

東京メトロ東西線沿線の中古マンション相場

朝のラッシュ、通勤地獄で有名な東西線は、西葛西を中心に売り出し物件数が多いのですが、相場が高く売約まで時間がかかっている様子で、売却日数は176日、つまり平均で6ヶ月も要していることがわかります。門前仲町は人気が高く、売り出されるとすぐに買い手が付くのですが、木場、東陽町は売り出し側が強気で時間をかけても価格を下げない物件が多く、売約まで至らず決定率が低い状況です。


有楽町線延伸による乗り入れが期待される東陽町

お隣、南砂町に移ると相場が大きく下がりますが、それでも決定率は若干上がる程度。西葛西は、人気がある大規模物件の「ザ・ガーデンズ西葛西」「レジデントプレイス西葛西」が相場を押し上げていますが、それ以外の物件含めて、売約まで時間がかかっているケースが多いです。

今後も、南砂町、西葛西と、大規模マンションの建設が控える中、とにかく物件数が多い沿線なので、相場動向には注視したいです。

都営新宿線沿線の中古マンション相場

都営新宿線沿線でとにかく人気があるのは、半蔵門線との乗り換え駅でもある住吉です。2013年築の大規模「イーストゲートスクエア」が市場を引っ張っていて、出せばすぐ売れているような状況です。お隣で建設中の「メイツ深川住吉」の影響もあるでしょう。

近年、新築分譲が増えており、中古市場はこれから更に活性化していきそうです。売却日数の14日は、決して大げさでは無く、売りが確認された後、次に検索したときには既に掲載終了なんて事もありました。準大手物件なども、住吉で売り出されるとあっという間に捌けてしまう印象です。

一方で、中央区まで歩いて行ける都心隣接、森下の人気が低く、この期間前から売り出されている住戸が、売り出し価格を幾度か下げても1件も成約されていない状況が続いています。そのため人気の門前仲町、清澄白河と比較して相場は比較的低位で推移しており、穴場エリアであることは間違いないと言えます。人気エリアと比較して、話題性が少なく、東西線や半蔵門線と比べて大手町など要所へ出るのに少しだけ不便であることなどが影響しているでしょうか。

西大島は大手の大規模物件「ミッドランドアベニュー」の人気が際立ちます。

こちらも売り出されれば安定して早い段階で売れているようです。ただし、このマンションは総武線有力駅である亀戸駅の6分も駅近としても利用できること、徒歩数分の場所に野村不動産主導の再開発を予定していることも人気を後押ししており、西大島という街だけの実力であるかは未知数です。

橋を渡って江戸川区に入り、売り出し物件数が多い船堀。駅近の優良物件が多いにもかかわらず、売約まで時間がかかっている状況ですが、一方で「プラウドシティ船堀」「ザ・パークハウス船堀」の大手人気物件は、坪単価300万円以上でも売りに出されれば決定まで早かったという認識です。


江戸川区役所の移転計画がある船堀

一之江は、駅から一歩入ると低層の住宅地が広がり、新しく綺麗な戸建ても立ち並ぶエリアなので、マンション自体の人気が薄いことが売れ残る要因かもしれません。

瑞江、篠崎は、マンションの件数が少ないのですが、売り出されれば足は速く、マンションへの期待が高いエリアと言えそうです。瑞江エリアのマンション事情については、以下の記事もご覧ください。

JR総武線沿線の中古マンション相場

錦糸町は名実ともに人気がある街になりました。ちょっと高いのでは!と思われる価格でもすぐ売れるため、相場を押し上げてきました。そもそも、東京隣接で複数路線利用可能なビッグターミナルであるにもかかわらず、東京西のエリアと比較して過去は評価が低すぎただけでしょう。輪をかけて、北口から東京スカイツリーにかけた一帯が整備されてきたことで、ファミリー層の人気が上昇しています。

平井は、坪単価250万円前後の大規模「シティテラス平井」の売り出しが多いのですが、ほとんど売約まで至っていない状況で、今後相場を下げてきそうです。

西に亀戸、東に小岩の再開発を控えている中、価格、売却日数ともに、沿線における相対的な人気の低下が顕著です。

小岩は、駅前のタワーマンション「アルファグランデ小岩スカイファースト」が坪単価300万円以上と相場を押し上げていますが、なかなか成約には至っていない状況です。近年「穴場の街」「東京東の面白い街」としても注目を集めるようになってきました。今後、駅前の再開発に大きな期待が寄せられています。


再開発事業が始まった小岩駅前

東京メトロ半蔵門線沿線の中古マンション相場

半蔵門線は人気路線です。毎日スーモを見ていて、住吉、錦糸町で物件が売り出されても、すぐに掲載終了になってしまうことは明らかでした。住吉、錦糸町については、上記で触れたとおりですが、2012年にスカイツリーが開業した押上についても大きく相場が上がっており、更に駅近において築浅物件が中々出てこないのは、一帯エリアの満足度が高く、外へ出る買い替え需要が低い要因もあるでしょうか。


スカイツリー開業以来、浅草エリアと一体となった賑わいを見せる押上界隈

清澄白河は物件数が多く、高値で売り出されるのですが、それでも安定して成約に至っており、人気の高さか窺えました。

東武スカイツリーライン、他東武沿線の中古マンション相場

東武沿線は、全体的に成約率が低く、いつ見ても、同じ物件が長い間売れ残っている状況が続いていました。特筆すべきは、曳舟の相場の高さと、お隣、東向島の苦戦です。駅前の再開発が叶い、綺麗に整備された曳舟の象徴的な板状マンション「ブランズ曳舟」が1階、70㎡住戸が6,180万円で売りに出された時は驚きましたが、売り出し時から数ヶ月経ち500万円価格を下げても決定に至っていません。しかしながら、駅前のタワーマンションは人気のようで、坪単価300万円以上で売り出した「アトラスタワー曳舟」は即決定したようです。


駅前が整備され綺麗な街に生まれ変わった曳舟エリア

隣駅、東向島も都心まで近く便利なエリアで、国道沿いに新しいマンションが建つのですが、一歩入ると昔ながらの下町住宅の体をなしていて、中々マンション文化が根付いていないのか、押上人気を沿線に波及させようと試みる東武鉄道のもくろみが、2駅隣で既に発揮されていない様相です。数年前に新築で売り出された有力物件「イニシア墨田」の中古が3件ほど出てきましたが、いずれも中々決まらない状況は意外でした。坪単価240万円ほどの売り出しですが、高いという評価の表れだと思います。

今や住みたい街ランキング常連の北千住ですが、指標が芳しくないのは、売り出し物件が、駅徒歩9分、10分という一部の中小デベロッパー物件に偏っているからです。街道沿いのマンションも多く人気が出ません。駅10分も歩けば相場観は低く、人気の街としての懐はまだ浅いようです。そもそも築浅で駅近物件は非常に少ないです。

とはいえ、売り出し中の、駅徒歩5分「パークホームズ北千住アドーア」の坪単価337万円は高すぎでしょう。半年ちかく成約されていない状況が続いています。

北千住の新築が高すぎて、築浅で駅近の中古物件も少ないので、荒川を渡った優しい価格帯の梅島、西新井は善戦しています。

JR常磐線沿線の中古マンション相場

常磐線沿線、綾瀬、亀有、金町は、比較的売買しやすいと言えるでしょう。常磐線ではありませんが、北綾瀬は、千代田線の新始発駅となり、住宅市場は元気です。低層で閑静な住宅地に綺麗なマンションが毎年誕生しています。大手町まで座って通勤しつつ、都内で静かに暮らす絶好のベッドタウンと評価できるのではないでしょうか。


駅前から自然豊かで閑静な住宅が広がる北綾瀬一帯

亀有は、沿線で一番人気があり中古市場は元気でした。売却日数48日は、売り出せば2ヶ月待たずに決まる事を意味します。北口の「パークホームズ亀有ガーデンズコート」「ブランズ亀有」の人気が高く、よく動いていましたが、大手物件だけでなく、駅近の物件は比較的早い段階で決定に至っているようでした。

駅前の大型複合競合施設の「アリオ亀有」は、遠方からも人を呼べる人気のスポット。大規模商業施設に近接したマンションの強みもあるでしょう。

京成本線、他京成沿線の中古マンション相場

京成線沿線は、東京イースト5区をまたがる鉄道沿線において、平均坪単価が一番低かった路線です。4,000万円あれば、ファミリータイプの築浅マンションに住める計算で、決定率も30%台の低位でした。今まで大手が入り込んでいない沿線なので、23区の有力エリアが飽和状態である現状、今後に期待したいです。

北千住も徒歩圏内の千住大橋が、70㎡価格4,713万円と沿線をリードしています。駅前に大規模マンションが数棟建っており、安定して売りに出されています。駅が近く環境が良いことから人気があるようで、比較的動きが良さそうでした。中でも「アクアヴィスタ」は、リバーフロント最前線に位置し、売り出されればすぐに決まっていたようで、指名買いも多いのではと推測します。まだ開発されていない周辺の再開発街区の行く末次第で、更に注目されていく街へと期待感があります。

交通の要所、青砥も善戦しており、売却日数は91日と、売り出せば3ヶ月あまりで売却できているようです。更に若い世代の人気を取り込むためには、大手デベロッパーのマンションなどと合わせて、古い町並みの区画整備や再開発が望まれる街だと思っています。近年、新築で分譲された、大手の「ザ・パークハウス青砥」、有力デベロッパーの「イニシア青砥」など、存在感があるマンションの中古相場動向にも注目しています。


街の新陳代謝が待たれる青砥駅前商店街の一角

以上、各沿線の動向を見た上で、ランキングにいってみましょう。

マンション都内23区東エリア、選びやすい街ランキング

売り出し数が多く、たくさんのマンションを吟味できる街のランキングです。

西葛西が圧倒的な売り出し数で見事1位に輝きました!特に徒歩10分以内と言うことでは、生活利便施設が集まった北側エリアにマンションが密集しており、グローバルな夜間人口も多く便利に楽しく住めるエリアとして活気に満ちあふれています。東西線の朝の電車に乗ってしまえばそこは地獄ですが、、、。

マンション都内23区東エリア、人気の街ランキング

栄えある人気ランキング第1位は!?
といっても、感覚では個人差があるので、数字で判断させていただきました。すなわち、売り出したらすぐに売約に至っている街を人気がある街と評価しています。

第1位は住吉!

とにかく掲載されると早い!売却日数14日は伊達じゃありません。大規模「イーストゲートスクエア」は出ても出ても、すぐはける状態でした。大手町まで10分という都心隣接に加え、半蔵門線、都営新宿線の複数路線が利用できる交通利便性、周辺は、小名木川、猿江恩賜公園と自然も広がり子育て環境も整っていて、治安も良いと聞きます。まさに「住んでよし」の住吉は、周辺、清澄白河、門前仲町、錦糸町という相場が高い人気エリアに比べると、70㎡あたりの価格が6,000万円を切っており、一般層にとっても、夫婦共働きで頑張れば何とか手が届きそうという好条件も人気を後押ししている理由と考えられます。今後、住吉まで有楽町線の延伸が実現すれば、人気は不動のものになるでしょう。

押上、越中島、東大島はそもそも売り出し物件が1戸で期間中に売約されたので、本当に人気があるかは未知数ですが、錦糸町は、先述の通り、出されればすぐに掲載終了が明らかに目立つ駅であり、こちらも25日で売れてしまう売れっ子!形式状は、半蔵門線トリオ、住吉、錦糸町、押上がベスト3という結果になりました!

マンション都内23区東エリア、手が届きやすい街ランキング

東京23区のマンション価格は2013年以降、毎年上昇を続けており、2019年に至る現在も、高止まりしています。

マンションは庶民には手が届かない資産の代名詞になりつつある中、葛飾区のお花茶屋が、手が届きやすいランキングナンバー1に輝きました。駅近でも十分にマンションが手に入る街で、駅前の緑道や公園は、子育て世代から、年配の方々の集まりで賑わいを見せています。

お花茶屋がどんなに素晴らしい街か、以下の記事を是非ご覧ください。

こんなステキな街なのに、都内で1番安くマンションを購入できてしまうわけですから、超穴場だと個人的にも思っています!

墨田区の中でも東武鉄道の支線である小村井駅は、直線距離で言うと都心から近い立地にあるものの、亀戸駅、曳舟駅から、支線に乗り継がなければならないロケーションで、お世辞にも便利な立地とは言えません。しかしながら、都心に近い自然豊かな環境としては希少な場所で、子だくさん家族が永住を決め込むのであれば、穴場と言えるのではないでしょうか。小村井駅徒歩8分の大規模「ソライエ・プレミアムテラス」がよく売り出されます。ただし、資産性を考えたときには、検討しなおさなければならない、駅遠マンションの(ここでは、有力路線、本線の駅から遠いの意味で)代表的な例と言えるでしょう。

最後に

中古相場も高くなり、住吉や門前仲町など人気の街を除いて、売り出してもなかなか決まらない状況が続いているといえます。やはりマンションで将来性や資産性も考慮するのであれば、立地をしっかり選びたいところですが、東京イーストエリアの魅力は何といっても、都心から近いにもかかわらず、環境が良く物件価格も比較的手が届きやすい街が多いところにあります。9月~11月期も、どんなマンションが出てくるか楽しみです! !

SUUMO公式ページ
https://suumo.jp/
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東京23区東エリア5区の新築マンションの一覧、ブログ記事はこちらから。

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